2024年に成立した改正民法により、共同親権が認められました。2026年4月1日以降に離婚する夫婦は、共同親権を選択することができます。しかし、中には配偶者の暴力やモラハラ等を理由として離婚するため、共同親権を不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。そこで、本記事では、共同親権を拒否して単独親権を獲得できる場合や方法について解説します。
目次
1 共同親権とは
そもそも親権とは、子どもの監護・養育を行う権利・義務のことをいい、子どもの住む場所を指定したり(居所指定権)、しつけを行ったりする「身上監護権」と、子どもの財産を管理する「財産管理権」がその内容となっています。
共同親権とは、父母の双方がこれらの親権を持つことをいいます。
父母が共同で親権を持つため、子どもの進学先の決定等、子どもの生活に関する重要な事項は、父母が双方で定める必要があります。単独親権の場合には、親権者がこれらを一人で決めることができるため、相手とのやり取りがスムーズにできるか不安な場合には、単独親権を望む方も多いのではないかと思います。ただし、「監護及び教育に関する日常の行為」については、単独で親権を行使できるとされているため(民法第824条の2第2項)、日常生活に関する事項(食事や習い事)などは、監護親(子どもと一緒に暮らしている親)が単独で決定できます。また、緊急で子どもの手術が必要な場合など、緊急な場合にも、一方の親のみで決定できるとされています(改民法第824条1項3号)。
なお、共同親権の基礎知識については、以下のコラムで詳しく解説しています。
2 単独親権が選択できる場合
相手と協議して相手も合意している場合
共同親権は、離婚する場合に必ず選択しなければいけないものではありません。夫婦の合意で単独親権を選択することはできるため、相手が単独親権に合意している場合には、単独親権を選択することができます。
裁判所の決定により単独親権となる場合
相手が共同親権を求めて譲らず、夫婦の合意ができない場合には、裁判所に調停を申し立てることになります。
調停とは、家庭裁判所を介して話合いを行う手続きです。あくまで「話合い」ですので、裁判所が何らかの決定を下したり、強制力を働かせたりすることはありませんが、第三者である調停委員会を通じて話し合いをすることで、当事者同士のみで話し合いをするよりも解決力が高い手続きとなります。なお、離婚の際には必ず親権者を定めなければならないため、親権についての協議が整わない場合には、夫婦関係調整(離婚)調停を申し立て、離婚に関する諸条件と共に親権者についても協議をするのが一般的です。
調停においても親権者の合意ができない場合には、訴訟(裁判)に進みます。訴訟の場合には、調停と異なり、裁判官が、離婚が認められるかや、親権者をどのように定めるべきかについて、判決を下すことになります。
親権の判断要素は、以下のコラムで解説しています。
3 単独親権が認められやすいケース
①子どもへの虐待やDVがある
過去に配偶者が子どもを虐待していた場合や、現在虐待を行う懸念がある場合には、子どもの心身に悪影響が及ぶとして、単独親権が認められやすいです。民法上も、裁判所は、父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるときには、父母の一方を親権者と定めなければならないとされています(民法第819条7項1号)。
②配偶者へのDVがある
配偶者の一方が他方にDVをしていることにより、双方が共同して親権を行使することが難しい場合にも、単独親権が認められます(民法民法第819条7項2号)。なお、肉体的な暴力に限らず、精神的DVの場合も同様です。例えば、継続的に人格を否定するような侮辱的な発言がある場合等が考えられます。
③子どもが共同親権を拒否している
子どもの意思も、共同親権を認めるか否かにあたり考慮されることがあります。ただし、子が小さい場合には、子どもの意思は参考程度とされることもあります。
なお、父又は母の一方が「子どもが共同親権を拒否している」というのみで決められるものではなく、調査官調査(家事事件において、事実の調査などをする裁判所の職員による事実の調査)により子どもが共同親権を拒否しているという結果が出るかが重要となります。
調査官調査については、以下のコラムで解説しています。
④共同親権を適切に行使できない可能性がある
離婚後も父母の感情対立が激しいことから、双方で連絡を取り合うのが難しい、双方の居住地が遠くて連携がしづらいなど、父母がスムーズに共同親権を行使できないと考えられる事情がある場合、単独親権が認められる可能性があります。
4 単独親権が認められるためには証拠が重要
単独親権を主張した場合、口頭のみで主張するのではなく、証拠と共に主張ができると効果的です。相手の暴力や暴言の証拠(診断書や録音等)を可能な限り集めて、客観的に主張できるようにしましょう。警察や支援センターなど、公的機関への相談記録、怪我の写真等も有用です。
5 共同親権と養育費
共同親権を拒否した場合、養育費をもらえるか心配になる方もいらっしゃるでしょう。しかし、親権の問題と養育費の問題は分けて考えることができます。親である以上、監護親(子どもと一緒に暮らす親)は非監護親(子どもと離れて暮らす親)に養育費を請求できます。また、共同親権を認める法改正と共に親切された法定養育費の制度では、養育費に関する取り決めがない場合でも、法で定められた額(2万円)を請求できることとなりましたので、覚えておくとよいでしょう。
養育費については、以下のコラムで解説しています。
6 まとめ
親権に関する争いは、お互いに感情的になりがちであり、冷静な判断が難しい場合もあるため、弁護士に相談して正しい見通しを持ったうえで方針を決定することが重要です。特に共同親権については、制度が始まったばかりで裁判所の運用も固まっていないと思われるため、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
当事務所では、離婚に関するご相談を数多くお受けしているため、親権に関する問題の対応実績も豊富です。まずはお気軽に問い合わせフォームよりお問い合わせください。
