家事事件で審判が下されたが、審判の内容に不服がある場合には管轄の高等裁判所に即時抗告を申し立てることができます。
即時抗告の申立てにより、高等裁判所で審理がなされ、原審の家庭裁判所が下した審判の内容が変更されることがあります。
本稿では、即時抗告の手続と流れを解説いたします。
目次
1 即時抗告とは
家事事件の審判においては、家庭裁判所が当事者から提出された書類や調査官の調査結果等をもとに審判を下します。
審判では、申立てを認める、申立ての一部を認める、申立てを却下するなどの一定の結論が示されることになります。
この審判に不服がある場合の不服申立手続が「即時抗告」です(非訟事件手続法第66条)。
なお、家事審判の詳細については、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
2 即時抗告の手続
申立先
即時抗告の申立先は、審判を下した原審の家庭裁判所です(非訟事件手続法第68条1項)。
即時抗告の審理がなされるのは、原審の家庭裁判所を管轄する高等裁判所ですが、即時抗告の申立先は原審である点には注意が必要です。
必要書類
即時抗告の申立ては、原審の裁判所に抗告状(正本・副本)を提出することにより行います(非訟事件手続法第68条1項)。
抗告状の書式は、裁判所のホームページに掲載されていますので、ご参照ください。
また、即時抗告の申立ての際には、裁判所に手数料と郵券(郵便切手)を納める必要があります(収入印紙で納めます)。
手数料の金額は、事件の種類により異なります。具体的には、家事事件の別表第1事件(氏の変更許可、相続放棄など)の場合は1200円、別表第2事件(婚姻費用、養育費、遺産分割など)の場合は1800円です。
別表第1事件と別表第2事件の詳細は、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
郵券の金額と内訳は、裁判所により異なりますので、事前に管轄の高等裁判所に確認しましょう。
なお、管轄の高等裁判所は、裁判所のホームページで確認することができます。
また、郵券は、直接郵券を裁判所に納付する方法以外にも、インターネットバンキングやATMにより納付する電子納付の方法が利用できます。詳細は、裁判所のホームページをご参照ください。
即時抗告の期限
即時抗告は、審判書を受領した日(審判の告知を受けたの日)の翌日から2週間以内に行う必要があります(非訟事件手続法第67条)。
期限を過ぎてしまうと、即時抗告の申立てが認められませんので、注意しましょう。
3 即時抗告の流れ
申立て
上記必要書類を提出して即時抗告の申立てを行います。
申立てに不備があった場合、裁判所から補正や書類の追完の指示がありますので、指示に従いましょう。
抗告理由書の提出
即時抗告の申立てが受理されてから2週間以内に抗告理由書を提出します。
「抗告理由書」とは、原審の審判が不服であることの具体的な理由を記載する書面をいいます。
抗告の理由を基礎付ける資料がある場合には、抗告理由書と併せて資料も提出します。
提出先は、基本的には管轄の高等裁判所になりますが、裁判実務においては、原審から高等裁判所に記録が送られていないことがあるので、原審の裁判所に連絡し、原審と高等裁判所のいずれに提出するのかを確認しましょう。
抗告答弁書の提出
抗告理由書が提出されると、原則として、裁判所が抗告答弁書の提出期限を定めて相手方に通知します。
「抗告答弁書」とは、抗告理由書に対する反論書面のことをいいます。
相手方は、裁判所の定めた提出期限までに抗告答弁書を提出します。
ただし、即時抗告に理由がないことが明らかな時は抗告答弁書の提出を指示しないまま、後述する決定がなされることもあります。
決定
抗告答弁書が提出されると、裁判所が決定を下す日を定め、同日に決定がなされます。
控訴審と異なり、実務上、抗告審では期日(当事者が裁判所へ出頭して裁判官と手続を行うこと)が開かれることはほとんどなく、書面のみの審理となる運用がされています。
高等裁判所の決定に対しては、特別抗告や許可抗告という不服申立手続があります。
しかし、特別抗告の申立ては、憲法の解釈に誤りがある場合その他憲法違反がある場合に限定されており(非訟事件法第75条1項)、許可抗告の申立ても、判例違反や法令の解釈に関する重要な事項を含む場合に限定されています(非訟事件手続法第77条2項)。
つまり、最高裁判所で審理される特別抗告や許可抗告については、事実関係や一般的な法的評価を争うことはできないため、実務上、特別抗告や許可抗告の申立てが認められるケースはほとんどありません。
そのため、基本的には抗告審の決定が裁判所の最終的な結論ということになります。
4 まとめ
当事務所は、離婚や相続等の家事事件に注力しており、家事事件の審判事件と即時抗告事件を多く経験しております。
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