発信者情報開示請求の意見照会が自宅に届いたということは、第三者があなたの情報を開示するようプロバイダに対して請求していることになります。
この意見照会は、拒否することも可能ですが、拒否する場合には、その後に起こりうることやリスクをきちんと理解したうえで行う必要があります。
そこで本記事では、発信者情報開示請求を拒否した場合の流れやリスクを弁護士が解説いたします。
目次
1 意見照会とは
発信者情報開示請求の意見照会とは、プロバイダが、発信者の氏名や住所等の個人情報を請求者に開示することについて発信者に意見を求めることをいい、開示請求を受けたプロバイダには、発信者の意見を聴くことが義務付けられています(プロバイダ責任制限法第6条2項)。
この意見照会をプロバイダが行う際に届くのが、「発信者情報開示請求にかかる意見照会書」であり、意見照会書には、開示に同意するのか、しないのかや、同意しない場合の理由を記載する欄があります。
意見照会書が届いたということは、第三者が、発信者(あなた)の投稿により自身の権利を侵害されたとして、あなたの氏名や住所を開示するよう求めているということになります。あくまで意見を聴く手続きですので、必ず開示に同意しなくてはならないということはありませんが、拒否する場合には、以下に述べるリスクをよく理解したうえで行う必要があるでしょう。
なお、意見照会書に対する回答期限に法的な制限はありませんが、実務上は意見照会書の到達から2週間以内とされることが一般的であり、その期間内に回答がない場合には、開示を拒否したとして扱われることが多いです。
意見照会書への対応方法は、以下のコラムでも解説しています。
2 意見照会に対し不同意と回答した場合に起こること
情報を開示すべきか否かが判断される
意見照会に同意をした場合には、請求者に対しプロバイダが保有している発信者の情報が開示されますが、不同意の場合には、裁判所又はプロバイダによって、情報を開示すべきか否かが判断されることになります。
開示請求が裁判所を通じて行われているのか、プロバイダに直接開示を請求しているのかかによって、以下のとおり情報開示がされるのかが判断されます。
請求者が直接プロバイダに対し開示請求をしている場合
請求者が裁判所を通じるのではなく、直接プロバイダに対し開示請求をしている場合には、プロバイダが、回答の内容(不同意の理由など)を踏まえて、情報を開示すべきかを判断します。プロバイダが権利侵害が明白であると判断した場合には、不同意の回答をしていても開示がされる場合もあります。ただし、経験上は、プロバイダの判断で開示がされることはあまり多くない印象です。
裁判所を通じた開示請求の場合
請求者が、発信者情報開示命令の申立てや発信者情報開示請求の訴訟を提起している場合には、裁判所によって、発信者情報の開示の要件を満たしているかが判断されます。
発信した情報に権利侵害があることが明らかであるなどの要件を満たしている場合には、
裁判所からプロバイダに対し発信者の情報を開示するよう命令(判決)がされ、不同意の回答をした場合であっても情報が開示される可能性がありますので、注意が必要です。
請求者から損害賠償請求をされる
プロバイダが情報を開示したり、裁判所から開示するよう判断がされた場合には、請求者に対し、プロバイダが保有しているあなたの情報(氏名や住所、電話番号など)が開示されます。
請求者は、開示された情報を元に、あなたに対して、情報の発信により被った損害を賠償するよう請求してくる可能性が高いでしょう。多くの場合は、内容証明郵便などの通知書により、相手の請求額等が記載された通知書が送られてきます。この場合には、相手と示談交渉をするのかを検討するようにしましょう。
相手の請求額が必ずしも妥当であるとは限らないので、減額交渉するかについても検討するとよいでしょう。
損害賠償請求の訴訟を提起される
開示請求をした側の多くは、前述のとおり、まずは通知書を送付してくることがほとんどですが、事前に通知なく訴訟(裁判)を起こすことも考えられます。
また、お互いの主張が折り合わずに示談交渉が決裂した場合にも、訴訟を提起することが考えられるでしょう。
この場合には、裁判の中で、相手の主張に対して反論していく必要があります。
刑事事件化する
情報の開示を受けた相手が警察に相談すると、刑事事件となってしまうこともあります。
権利侵害がある=刑事事件となるわけではなく、名誉棄損(刑法第230条)や侮辱(刑法第231条)など、刑事罰がある場合に限ってではありますが、刑事事件化してしまうリスクもあるという点には注意が必要です。
刑事事件として扱われる場合には、まずは警察から連絡がきて、取り調べが行われることがほとんどです。取り調べに応じない場合には、逮捕されてしまうリスクがあがってしまうので、必ず出頭すると共に、早期に相手と示談交渉をしましょう。
3 開示請求を拒否した場合のリスク
示談交渉が難航する
開示請求を拒否した場合には、請求者にもそのことが伝わります。
請求者としては、「拒否するということは反省していないことだ」といった心証になる可能性もありますので、その後の示談交渉がスムーズにできないリスクがあるでしょう。
請求額が高額になる
こちらが開示を拒否した場合、権利侵害を理由とする慰謝料等に加え、発信者の情報を調査するためにかかった費用の損害賠償が追加されるおそれがあります。
4 まとめ
意見照会書が届いた場合、権利侵害が明らかに認められない場合には、拒否をした方がよいですが、ご自身のみでその判断をすることは大きなリスクを伴います。
まずは弁護士に相談したうえで、見通しを確認し対応を決めることをお勧めします。
当事務所には、東京都内の大手IT企業にて勤務経験のある弁護士が所属しており、インターネット関連のご相談を数多く取り扱っております。意見照会書が届いてお困りの方は、お電話又は問い合わせフォームよりお問い合わせください。
