2026年4月1日より離婚の際の共同親権制度が施行されていますが、例外的に単独親権を取得したい場合や、監護の分掌(父母で子の監護する期間や事項を分けること)において主に子を監護する権利を獲得したい場合には、証拠が重要になります。
本稿では、親権・監護権を取得するために有用な証拠を紹介いたします。
目次
1 親権・監護権とは
「親権」とは、子の監護・養育を行ったり、子の財産を管理する権利・義務のことをいいます。
また、「監護権」とは、主に子を監護養育する権利・義務のことをいい、親権の一部を構成するものでもあります。
夫婦が離婚する際、協議によって共同親権にするか、単独親権にするかを定めなければならないとされています(民法第819条1項)。
裁判離婚をする場合や協議が調わない場合には、家庭裁判所が親権者を決定することになります(同条2項、同条5項)。
共同親権とすることが子の利益を害すると判断した場合に、単独親権としなければならないと定められています(同条7項)。
共同親権となった場合であっても、離婚後に父母が同居して共同して子を監護するケースは少ないことから、監護の分掌に関する制度も新設されました。
「監護の分掌」とは、子の監護を分担することをいい、子を監護する期間を分担したり、監護に関する事項を分担することをいいます(民法第766条1項)。
監護の分掌について、協議が調わない場合には、家庭裁判所がこれを定めることになります(同条2項)。
なお、共同親権については、以下の記事で解説しておりますので、ご参照ください。
2 親権・監護権を取るために有効な証拠
①保育園等の連絡帳
父母が同居していた際の監護実績(どちらが主に子の育児を行っていたか)を示す証拠は少ないことが多いですが、保育園や幼稚園、小学校の連絡帳は非常に有効な証拠になります。
連絡帳は、父母のいずれが連絡帳を記入していたか、送り迎えは主に誰がしていたか、体調管理や病気の際の対応は主に誰がしていたかなどを客観的に証明することができる証拠になります。
②先生の証言
親権や監護権が争点となった場合、家庭裁判所が調査官調査を実施することが多いです。
家庭裁判所調査官とは、家庭裁判所で取り扱っている家事事件等について調査を行う国家公務員のことをいいます(裁判所法第61条の2)。
調査官調査では、子の通う保育園や幼稚園、小学校等に対する調査を行うことが多いです。
学校等の調査においては、子の担任の先生との面談を実施することが多く、面談における先生の証言は同居中の監護実績の立証(証明)に繋がることがあります。
例えば、送迎は主に誰がしていたか、学校行事や授業参観、三者面談に参加していたのは誰かなどです。
また、虐待等の事情があった場合には、身体に痣があったなどの傷害に関する証言を得られることもあります。
さらに、身だしなみがきちんとしていなかった、忘れ物が多かった、髪が結われていないことがあった、遅刻が多かったなど、子の親権者・監護者としての適格性に関する証言を得られることもあります。
③警察や児童相談所への相談記録
虐待等の事情があった場合で、過去に警察や児童相談所に通報したことがある場合には、警察や児童相談所への相談記録等が有力な証拠になることがあります。
虐待があった当時の警察や児童相談所へ相談した内容やこれに対する警察や児童相談所の対応内容を立証することができる可能性があります。
④動画・録音
虐待等の事情があった場合、その様子を撮影した動画や音声を記録した録音は有力な証拠となる可能性があります。
ただし、動画や録音の内容や時期により、その証拠価値は大きく変わりますので、有力な証拠となり得ない場合がある点には注意が必要です。
⑤監護補助者の証言
「監護補助者」とは、子の監護を補助できる人のことをいいます。
両親(子の祖父母)や兄弟姉妹が監護補助者となることが多いです。
前述した調査官調査では、子の居住する自宅の家庭訪問を行うことが多いです。
その際に、監護補助者に同席してもらい、調査官と面談をすることで、監護補助者による補助が期待できることを証明できる可能性があります。
⑥子との写真
子と一緒に撮影した写真がある場合は、証拠として提出すると良いでしょう。
監護実績の立証や子との関係の良好さを示す証拠となる場合があります。
また、監護補助者と子が一緒に写っている写真も証拠としては有用です。
監護補助の実績や監護補助者との関係の良好さを示す証拠となる場合があります。
⑦間取り図
子を監護するための自宅の間取り図は、住環境が良好であることを証明するために役立ちます。
設計時に建築士が作成した間取り図や物件を借りる際に不動産の管理会社からもらった間取り図に番号を振り、①がリビング、②が子どもたちの寝室、③が子どもたちが遊ぶための遊具がある場所などと、各部屋の用途を記載すると良いでしょう。
建築士や不動産業者が作成した間取り図がない場合には、手書きの間取り図を提出しましょう。手書きの場合は、各部屋の面積を記載すると良いでしょう。
⑧収入資料
私の経験上、父母の経済状況は、親権を決める際の大きな考慮要素とはならないことが多いですが、経済状況が安定していることを示すために、勤務先と収入の金額が分かる資料を提出しておくと良いでしょう。
役員報酬や給与収入の場合には源泉徴収票や課税・非課税証明書、自営業の場合には確定申告書を提出するのが通常です。
働き始めたばかりであったり、転職したばかりである場合には、勤務開始後又は転職後からの給与明細と雇用契約書等を提出すると良いでしょう。
3 まとめ
今回は親権・監護権を獲得するために有用な証拠の一般的な例を紹介しましたが、あくまで一例に過ぎず、有用な証拠は案件によって様々です。
また、前述した動画・録音のように、証拠の内容により証拠価値が大きく異なることもあります。
証拠の選別や精査については、ご自身で判断することが難しいケースが多いので、弁護士に相談することをお勧めします。
当事務所は、離婚案件に注力しており、親権獲得に関する知識と経験は豊富です。
親権・監護権を含む離婚案件の相談をご希望の方は問い合わせフォームよりご連絡ください。
また、当事務所は、親権・監護権を取得するための手続や親権を決める判断要素について解説するコラムを公開しておりますので、親権・監護権について知りたい方は、下記のコラムもご参照ください。
