新静岡駅前法律事務所

親権を取るために必要なこととは?親権獲得のためのポイント

赤ちゃんと養育費
2024-02-13
親権 離婚

「離婚はしたいけれども、子どもと離れて生活したくない」こういった理由で、離婚をするのをためらう方は、よくいらっしゃいます。

そこで、本記事では、双方が親権を得たいと主張している場合にどのような流れで親権が決まるのかや、親権を決める際に考慮される事情を解説します。

目次

親権とは

親権とは、子どもの看護・養育を行ったり、子の財産を管理したりする権利・義務のことをいいます。

子の身体的・精神的な成長を図るための「身上監護権」と、子の財産を管理するための「財産管理権」が親権の内容とされています。

子の生活のために住む場所を決めたり、しつけを行う権利、子どもの相続に関する手続を行う権利などが、「身上監護権」に当たります。

そして、民法では「成年に達しない子は、父母の親権に服する」とされており(民法第818条第1項)、父母の婚姻中は、父母が親権を持つこととされています。

諸外国では、離婚後も父母が共同して親権を持つ「共同親権」という制度を採用している国も多いですが、日本では共同親権は認められていません。

そこで、離婚をする際には、父母のどちらかを親権者として定めなければならないのです。

親権の決定の方法

まず、夫婦の双方が、どちらか親権を持つかについて合意をしている場合は、特別な手続や条件はなく、その合意により親権を定めることができます。

しかし、夫婦が互いに親権が欲しいとして譲らない場合には、そうはいきません。

民法上、離婚の際には必ず親権を定めなければならないとされているため(民法第819条)、夫婦のどちらが親権を持つか合意できない場合に、親権を決めずに離婚をするということはできません。

共同親権が認められていない以上、親権について合意ができない場合には、調停や裁判で親権者を定めることとなります。

また、複数の子がいる場合には、それぞれに親権を定める必要があります。

こちらも、合意で決める場合には、兄は母が親権を持ち、弟は父が親権を持つ、というように定めることも可能です。

ただし、婚姻中ともに生活をしていた兄弟が、離婚を境に別々に暮らすことになるということは、一般的には望ましいとされておらず、裁判や調停で親権を定める際には、兄弟の親権はいずれも片方の親が持つ、と定められることが多いです(これを「きょうだい不分離の原則」といいます)。

なお、もちろん、進学先の事情などから子どもの福祉のためにより良いと考えられる場合には、兄弟の親権をそれぞれ父母が持つ、という定めがされることもあります。

調停・裁判の流れ

2」で述べたとおり、親権についての合意ができない場合には調停・裁判をすることとなります。

調停とは、裁判のように裁判官が両者の主張や証拠を元に一定の判断を下す手続とは異なり、裁判所の仲介の元、話し合いにより合意をすることによって紛争を解決するものです。

調停では、調停委員会といって、調停委員2名と裁判官(又は調停官)1名で構成される委員会が、当事者の話し合いをあっせんします。

具体的には、調停委員が双方の主張を交互に聞きながら、お互いの主張を整理していくという形で手続が進みます。

あくまで話し合いでの解決を目指す手続であることから、夫婦のどちらもが親権を持つと主張して譲らない場合には、調停は不成立となって終了し、裁判に移行することとなります。

裁判では、裁判官が、夫婦のどちらが親権を持つことが適当であるかを、双方が主張した事実を元に判断することになります。

親権に争いがある場合には、調停や裁判の手続の中で、家庭裁判所の調査官による調査がされることがあります。

調査官とは、その名のとおりですが、家事事件において、事実の調査などをする裁判所の職員のことです。

調査官が子どもと面会したり、家庭訪問をしながら、父母のどちらか親権者としてふさわしいかを調査するもので、子どもの意思の確認(子どもはどちらを親権者としたいと考えているか)や、家庭環境の確認(子どもがどういった環境で生活することとなるのか)などの調査をした結果を、報告書という形でまとめます。

また、交流観察といって、親と子の関係を確認するために、親と子が遊んでいるところを観察したり、子が通っている保育園、幼稚園、学校などに聞き取り調査を行うこともあります

親権者を決定する際に重視される事情

調査官調査がされる場合や、調査がされない場合に、調停委員や裁判官が親権の決定にあたり重視する事情は、基本的に同一です。

親権とは、子どもの福祉のため、つまり子どものために認められた権利でありますから、当然優先されるのは、子どもの福祉、つまり、どのような環境が子どもにとってより良いか、という観点が重視されます。

まず、離婚により、子どもの環境が大きく変わってしまうことは好ましくないと考えられていますから、これまでどちらが主体的に子どもの面倒を見てきたか、という点は重要な事情です(これを、監護の継続性の原則といいます)。

また、特に子どもが幼い場合には、父親よりも母親と暮らした方が望ましいと一般的に考えられており、子どもの年齢も親権の決定にあたって考慮される事情となります。

次に、おおむね10歳以上の子どもについては、自分の意思で親権者を決定することが子の福祉にも資するとされており、年齢が高い子の意思は、尊重される傾向にあります。

また、経済面についても考慮される事情です。

子育てには多くの費用がかかるため、経済的に子どもの親権者となることが可能かという点も、考慮される事情の一つです。

ただし、離婚をした際には親権者ではない一方の親から養育費が支払われることが通常ですから、例えば経済的に夫の方が優れているからといって、それのみで親権者にふさわしいという判断がされることはありません。

以上のように、子の親権に関しては様々な事情が考慮されますが、特に監護の継続性については最も重要視される事情といえます。

そこで、親権について争いとなっている場合には、従前どのような形で子どもを監護してきたかを、詳細に主張すると良いでしょう。

上で述べたように、特に乳幼児については、親権争いにおいて母親が優先されることも多いですが、保育園の送り迎えはすべて父親が行っていたこと、食事の準備もほぼ行っていたことなどを詳細に主張した結果、父親が親権を獲得できたという例もあります

調査官調査の結果について

調査官調査の結果については、報告書にまとめられ、家庭裁判所へ提出されます。

この報告書については裁判官に重視され、調査報告書に沿った判断がされることが非常に多いです(経験上、9割程度は報告書に沿った結果となります)。

そもそも調査官調査は、裁判所の判断の補充のため(裁判所が判断に必要な事情を確認するため)に行われるものですから、調査結果が明らかに不合理でない限り、調査結果に沿った判断がされることとなります。

また、特に親権について争いとなっている場合、子どもが一方の親に気を使って本当の意見を言えなかったり、一方の親が子どもに、「こう言いなさい」と指示をしているなどという場合もあり、なかなか真意を確認することが難しい場合があります。

このような場合でも、調査官の専門的な調査によって、子どもの真意が確認できると考えられており、その意味でも、調査結果は信頼性の高いものといえるためです。

このような事情から、調査結果において、相手が親権を持つべきであるとされてしまった場合、残念ながら親権を獲得できる可能性は低くなってしまいます

調停であれば、相手は、調査結果を元に、自己が親権を得るべきであると主張するでしょうから、相手が譲歩する可能性は低いです。

また、裁判所が調査結果を重視することは、既に述べたとおりです。

ただし、もし調査結果に事実の誤りがある場合や、調査後に発生した重大な新事実(例えば調査後に相手が付き合い始めた人が、子どもに虐待をしているなど)があるのであれば、積極的に主張をすることが大切です。

また、親権を得ることができないとしても、面会交流という形で子どもと会うことが可能な場合もありますので、親権については譲歩し、面会交流の条件を少しでも自己に有利なものとする、ということも選択肢として考えられるでしょう、

面会交流とは、子どもと離れて暮らしている父母の一方が子どもと定期的に会ったり、電話したりなどして交流することをいいます。

親権について争いが長期化して、面会交流についての条件も不利になってしまうということを避けるため、親権については譲歩する代わりに、面会交流の頻度を高くしてもらうなどの交渉をすることが考えられます。

不貞行為と親権について

よく、「不倫していたので親権を渡さないといわれている」という相談を受けることがあります。

しかし、不貞行為(配偶者がいるのに他の異性と性的関係を持つことをいいます)があり、それを理由に離婚に至ったからといって、親権が取れない、ということにはなりません

親権は、あくまで子の福祉のために行使されるものであり、どちらが親権を持つことがより子どもにとって良い環境か、という観点から決定されるものでありますから、不貞行為を行ったからといって、一概に子どもにとってふさわしくない環境であるというわけではないためです。

ただし、不貞相手と会うために、夜頻繁に出かけ、子どもを放置していたなどという事情がある場合には、子どもにとって良い環境ではないという観点から、親権者としてふさわしくないと判断されることはありえます。

まとめ

夫婦関係がうまくいかず、離婚を検討されている場合であっても、子どもとは絶対に離れたくないという事情から、離婚をする決断ができないという方は、よくいらっしゃいます。

しかし、離婚をしたいと考えている相手と一緒に生活をすることは、精神的にお辛いことが多く、追い込まれてしまう方もいらっしゃいます。

当事務所の弁護士は、親権について争いとなっている事件の経験も豊富であり、ご相談者様のご事情に応じたアドバイスをすることができます。

また、父親側で親権を獲得できた経験も多いです。

現在悩まれている方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

著者

弁護士 日吉加奈恵

弁護士
日吉加奈恵

静岡県弁護士会所属

東京都内の法律事務所に出向経験もあり、離婚・男女トラブル・相続等の個人案件の経験も豊富。

趣味は旅行と野球観戦。

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