近年はマッチングアプリの利用者が増加しています。
利用者の増加に伴い、マッチングアプリでの男女トラブルが増えており、当事務所への相談も増加しています。
本稿では、マッチングアプリで多い法的トラブルの内容と対処法を解説いたします。
目次
1. ストーカー被害・脅迫被害
マッチングアプリで出会った相手方から、ストーカー被害や脅迫被害を受けているという相談は多いです。
特に、相手方に個人情報、例えば、勤務先や住所を伝えてしまっている場合、「勤務先に連絡する」などと脅迫されたり、自宅や勤務先の前で待ち伏せされたなどのストーカー被害に遭っている相談が多くあります。
また、相手方から執拗に連絡が来ており、着信拒否やブロックしたいが、個人情報を知られているため、着信拒否等をするのが怖いという方もいらっしゃると思います。
上記のような行為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律違反や刑法上の脅迫罪(刑法第222条)に該当する可能性があるので、ストーカー被害や脅迫被害に遭っている方は、早急に警察に相談をすることをお勧めします(電話ではなく直接警察署に行く形で相談をしましょう。
電話の場合、警察が対応してくれる可能性が低くなります)。
また、弁護士から相手方に警告をしてもらい、相手方との対応を依頼することも検討すると良いでしょう。
ストーカー被害や脅迫被害でお困りの方は、以下のコラムをご参照ください。
2. 貞操権侵害
多くのマッチングアプリは、既婚者の登録を禁止していますが、既婚者であるにもかかわらず、マッチングアプリに登録している人も一定数います。
相手方が既婚者であるにもかかわらず、独身と偽り、結婚を意識させた上で肉体関係を持った場合には、貞操権侵害として民法上の不法行為に該当し、相手方に対し、慰謝料請求ができる可能性があります(民法第709条、同第710条)。
貞操権侵害を理由とする慰謝料については、以下のコラムで解説しておりますので、ご確認ください。
なお、相手方が既婚者と知った後に肉体関係を持ってしまうと、相手方の配偶者から不貞行為を理由とする慰謝料請求を受ける可能性があるので、既婚者と知った後はすぐに関係を解消するようにしましょう。
既に慰謝料請求されているという方は、以下のコラムをご参照ください。
3. 結婚詐欺
マッチングアプリで出会った人から、結婚詐欺であると言われているというご相談も多いです。
実際に、結婚するつもりがないにもかかわらず、結婚を仄めかして金銭を受領した場合は、刑法上の詐欺罪に該当するおそれがあります(刑法第246条1項)。
一方で、当事務所にご相談いただく多くのケースは、およそ結婚詐欺に当たらないにもかかわらず、相手方が「結婚詐欺だから警察に被害届を出す」などと言って、関係の継続を迫ってくる、これまで支払ったデート代やプレゼント代の返還を求めてくるというものです。
このような場合、あなたは結婚詐欺の加害者ではなく、前述したストーカーや脅迫の被害者になっていることがありますので、まずは弁護士に相談し、どのように対応すべきか確認すると良いでしょう。
結婚詐欺と言われている場合の対処法については、以下のこらむで解説しておりますので、ご参照ください。
4. 性被害
マッチングアプリで出会った人から性被害を受けたという相談は多いです。
同意なく性的な行為を行うことは、刑法上の不同意わいせつ罪(刑法第176条)や不同意性交等罪(刑法第177条)に該当する可能性があるので、警察に被害届を出す、又は、刑事告訴をするのも選択肢の1つです。
また、同意なく性的な行為を行うことは、民法上の不法行為にも該当する可能性があるので、相手方に慰謝料請求をすることも考えられます(民法第709条、同第710条)。
詳細については、以下のコラムで解説していますので、ご参照ください。
5. インターネットトラブル
マッチングアプリに掲載している写真を無断でSNSに投稿された、SNSで個人情報を晒された、なりすましの被害に遭っているなどのインターネット関連のトラブルも多いです。
上記のような行為は、肖像権侵害、プライバシー権侵害、アイデンティティ権侵害に該当するおそれがあり、投稿内容が社会的評価を低下させるものでれば名誉権侵害が、侮辱する内容が含まれている場合には名誉感情侵害が成立する可能性があります(詳細は以下のコラムで解説しています)。
権利侵害が認められる場合、発信者情報開示請求や慰謝料請求ができることがあります。
発信者情報開示請求や慰謝料請求をお考えの方は、以下のコラムをご参照ください。
また、投稿の内容によっては、刑法上の名誉毀損罪(刑法第230条)や侮辱罪(刑法第231条)に該当することもあるので、警察への相談も検討すると良いでしょう。
6. まとめ
マッチングアプリでのトラブルを弁護士に相談しても良いのかとお悩みの方もいると思います。
これまで述べてきたとおり、マッチングアプリでのトラブルは法的問題を含んでいることが多く、実際に当事務所もマッチングアプリでのトラブルに関するご相談及びご依頼を多く承っております。
マッチングアプリでのトラブルについて当事務所への相談をご希望の方は、問い合わせフォームよりご連絡ください。