新静岡駅前法律事務所

不倫の慰謝料は減額できる?慰謝料を請求されている場合の対処法

離婚のイメージ
2024-02-21
不貞慰謝料

「不貞の慰謝料を請求されてしまっているけど、減額はできないか」不貞行為をしてしまい、自分の配偶者や相手の配偶者から不貞慰謝料を請求されてしまった場合、多くの方はこのように考えるでしょう。

もちろん、不貞行為をしてしまった場合には、基本的には慰謝料を支払う必要があるでしょう。

しかしながら、必ず相手の請求通りの額を支払わなければならないかというと、そうではありません。

相手との交渉次第で、減額できることもあります。

そこで、この記事では、不貞慰謝料を減額するためのポイントや、減額ができるケースについて解説します。

目次

そもそも「慰謝料」とは

「傷ついたので慰謝料を支払ってほしい」などの会話は日常生活でもよく耳にするとおり、「慰謝料」とは一般的によく使われている言葉です。

しかし、法律では「慰謝料」という言葉は使われていません。

慰謝料は、「損害賠償」のことを指します。

損害賠償とは、不法行為などによって他人に損害を与えた場合に、その損害を補償することをいいます。

例えば、人から借りていたパソコンを壊して二度と使えなくしてしまった場合、パソコンを貸した人は、パソコンを新しく買いなおさなければならなくなります。

その人は、パソコンを壊されなければ新たに買いなおす必要もなく、新しいパソコン代は本来必要のなかった出費です。

つまり、本来必要のなかったパソコン代分の出費という「損害」が発生してしまいます。

壊してしまったのは借りた人ですから、借りた人がパソコン代金を支払う必要があります。

このパソコン代金の支払いが「損害賠償」です(いわゆる「弁償」を思い浮かべるとわかりやすいでしょう)。

このように、パソコン代金という客観的に決まっている額であればわかりやすいのですが、同じ損害賠償であっても、慰謝料は精神的苦痛に対する損害の賠償です。

不貞行為の例でいうと、妻(又は夫)が不貞をしたことにより、不貞された側が感じる精神的苦痛という損害に対する補償です。

客観的に額が決まっているものではないため、精神的苦痛を金銭で評価し、損害額を決定し、その額を支払う必要があるということになります。

された側にどれほどの精神的苦痛が生じたかによって金額が決まるため、「不貞行為の慰謝料は●●円」と一律に決められているものではありません。

逆に言うと、一律に決められていないからこそ、交渉次第で減額の余地があるといえます。

また、そもそも不貞行為をしたとして慰謝料を支払う必要があるのは、相手と肉体関係を持った場合です。

肉体関係を持っていない場合には「不貞行為」には該当しませんので、基本的には慰謝料を支払う必要はありません。

もし、肉体関係を持っていないのに慰謝料を請求されている場合には、そのことを主張してみるのが良いでしょう。

ただし、世間一般で許される範囲を超えて、既婚者と親密な交際をした場合には、慰謝料の支払いが必要な場合がありますので注意が必要です。

例えば、頻繁に二人きりでデートしている・(肉体関係はないものの)キスをしているなどといった場合には、慰謝料の支払い義務を負う可能性があるでしょう。

また、肉体関係がない場合であっても、既婚者の家に行った・二人で宿泊を伴う旅行をしていたといった場合には、肉体関係があったと推認されてしまい、それを覆すことのできる証拠がない限り、慰謝料の支払いが必要となってしまう場合もあります。

慰謝料の減額がされやすいケース5選

①不貞行為の期間が短い・回数が少ない

前述のとおり、不貞行為の慰謝料は、精神的苦痛の大きさにより異なります

長期間にわたり継続して不貞行為をしていた場合や、不貞行為の回数が多い場合には、それだけ不貞行為をされた側が受ける精神的苦痛も大きくなり得るでしょう。

そこで、不貞行為の期間が短い場合や、回数が数回程度の場合には、相手の請求額より慰謝料を減額できる可能性が高いといえます。

②相手の婚姻期間が短い

一般に、不貞相手とその配偶者の婚姻期間が長ければ長いほど、その長期間かけて築いた夫婦関係に不貞行為が与える影響は大きく、精神的苦痛も大きくなるといえるため、相手の婚姻期間が短い場合には、慰謝料を減額できる可能性があります。

経験上、相手の婚姻期間が1年未満など極端に短い場合には、大幅な減額ができる可能性があります

③相手夫婦が離婚しない

相手夫婦が不貞行為を理由として離婚をする場合には、それだけ相手夫婦の婚姻生活に与える影響が大きいといえますし、不貞行為により離婚をすることになった場合には、そうではない場合と加えて精神的苦痛が大きいと判断されます。

一般的には、不貞行為の慰謝料はおおよそ50万円~300万円程度であることが多く、その中でも、不貞行為により離婚や別居に至ったときには慰謝料が200万円前後に、不貞行為発覚後も婚姻生活を継続している場合には、50万円から100万円程度となる例が多いです。

相手の請求額にもよりますが、不貞行為後も相手夫婦が婚姻関係を継続しているにもかかわらず、高額の慰謝料を請求されている場合には、減額ができる可能性があるでしょう。

④慰謝料を支払う収入や資産がない

いくら高額の慰謝料を請求し、支払う旨の合意をしたとしても、結局支払う人の収入や持っている資産から見て支払いが現実的に難しい場合、相手としてもその額で合意をする意味がないといえます。

そこで、現実的に支払いのできる額を示すことで、慰謝料を減額してもらうことができる場合があります

ただし、収入が低いからといって、あまりにも低額の提示をすることにより、逆に相手から「真摯に反省をしていない」などと受け取られ、交渉が決裂してしまう場合もありますので、注意が必要です。

⑤求償権を放棄することを提案する

例えば、夫が不貞をし、妻が慰謝料を請求するケースで、慰謝料額が200万円の場合を考えます。

この例で妻が夫の相手女性に慰謝料200万円を請求し、その女性が200万円全額を支払ったときは、相手の女性は、不貞相手(夫)に対し責任割合に応じて支払った慰謝料額のうちいくらかを支払う請求ができるのです。

通常、不貞行為の場合には、責任割合は半々とされる場合が多いので、100万円を夫が不貞相手の女性に支払う必要があるということになります。

不貞行為というのは、不貞を行った男女双方が共同で行った不法行為であり、その責任も共同して負うとされていることから、慰謝料額も双方が分担すべきという理由によるものです。

不貞相手の女性は、双方で分担すべき慰謝料を夫に代わって全額支払ったので、後から返還を請求することができます。

これを求償権といいます。

不貞相手の女性が求償権を行使すると、妻が不貞相手の女性から200万円を受け取っても、夫が不貞相手の女性に100万円を返さなければならないため、結局家計に残るお金は100万円のみとなります。

つまり、不貞相手の女性から200万円を受け取り不貞相手の女性が求償権を行使する場合と、不貞相手の女性から100万円のみ受け取り、その代わりに求償権を行使しないことを合意する場合で、夫婦の手元に残るお金が100万円であることに変わりがないことになります。

また、妻から見ても、金銭のやり取りが一度で済む、早期に解決ができるなどというメリットがあることから、求償権を行使しないことを合意する代わりに、慰謝料の額を減額してもらえる場合があります

ただし、相手夫婦が離婚する場合には、夫が不貞相手の女性から求償権を行使されたとしても、妻が得られる金額は変わらない(家計が別となるので)こととなりますので、離婚をする場合にはこういった交渉は難しいことに注意が必要です。

不貞慰謝料の減額交渉のポイント

以上のように、慰謝料を請求されている場合でも、相手との交渉によっては、減額をできる場合があります。

ただし、やみくもに交渉するとかえって事態が悪化してしまいかねないので、交渉する際には以下のポイントに注意するようにしましょう。

①請求されている慰謝料が妥当か確認する

まずは、相手が請求してきている慰謝料額が妥当であるのか、妥当ではない場合、どの程度が妥当であるのかを把握することが必要です。

どの程度減額できれば慰謝料の支払いに合意できるのかなど、交渉のゴールを決めてから交渉に臨むようにしましょう。

②相手とのやり取りは書面で行う

電話で交渉を行った場合には、お互いに感情的になってしまい、交渉がまとまりづらくなってしまいます。

また、相手が弁護士に依頼をしている場合、その弁護士と交渉をすることになります。

相手は交渉のプロなので、電話で交渉をするとつい不利なことを口走ってしまったり、不利な条件で合意させられてしまうことが考えられますので、やり取りは書面で行うようにしましょう

③合意する場合は、合意の内容を書面で残す

相手と慰謝料を支払う額について合意できた場合には、必ずその合意の内容を書面で残すようにしましょう。

書面がないと、200万円で合意して200万円を払ったのに、後から相手に「これは合意した額の一部で、本当は400万円で合意した」などと言われてしまうなど、トラブルが再燃する原因となってしまいかねません。

また、合意書には必ず「清算条項」を入れるようにしましょう。

清算条項とは、合意書に署名した当事者(慰謝料を払う側と、受け取る側)には、合意書に記載された慰謝料を支払う以外にはお互いに何も請求できないし、反対に請求も受けないことを示す条項です。

この条項があれば、事件が完全に解決したことに当事者が合意していることを示すことができ、後々「やはりもっと高額な慰謝料を支払うべきだ」といった主張をされることを防ぐことができます。

まとめ

以上のように、不貞慰謝料を請求されている場合でも、交渉によっては、減額することが可能な場合があります。

ご自身のみで交渉をする場合には、どうしても、交渉がうまくいかなかったり、適切な慰謝料額が分からないといったデメリットがありえるため、不貞慰謝料でお困りの場合は、一度弁護士に相談することをお勧めします。

著者

弁護士 日吉加奈恵

弁護士
日吉加奈恵

静岡県弁護士会所属

東京都内の法律事務所に出向経験もあり、離婚・男女トラブル・相続等の個人案件の経験も豊富。

趣味は旅行と野球観戦。

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