不倫をしてしまい、相手から慰謝料を請求されている場合、「支払うつもりはあるけれど、一括で大金を用意するのが難しい」という方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、慰謝料の分割払いについて解説します。
目次
1 慰謝料は分割払いできる?
不倫とは、法的には不貞行為(配偶者以外の人と性的関係を持つこと)のことをいい、不貞行為をした場合、不貞相手の配偶者や自分の配偶者に対し慰謝料を支払う義務が生じます。
この慰謝料については、実務上は一括払いが原則であり、多くのケースでは、慰謝料の額やその他の条件について合意した月の翌月末までに支払うと取り決めることが多いです。
また、相手が裁判を起こし、慰謝料を請求している場合、裁判所が判決により慰謝料の額を決める場合には、分割払いとなることはなく、一括払いの判決が出されます。
このように、慰謝料の支払いについては一括が原則ではあるものの、相手との交渉により、相手が合意してくれれば、分割払いに応じてもらうことは可能です。また、裁判を起こされていても、和解をする場合には、分割払いとできることもあります。
なお、そもそも相手の請求額が高額すぎるといった場合には、まずは分割払いではなく、慰謝料の額について相手と交渉することを検討すると良いでしょう。
慰謝料を減額できるケースについては、以下のコラムで解説しています。
2 慰謝料を分割払いとしてもらうための交渉
慰謝料の分割払いは、相手にとってはメリットのあるものではありませんので、単に交渉しても難しいことが多いでしょう。相手が分割払いに難色を示している場合には、以下のような提案をすることで、分割を受け入れてもらうことができる可能性があります。
経済状況を具体的に説明する
まずは、自身の経済状況を具体的に説明してみましょう。例えば、預貯金等の資産がない、アルバイトの収入しかなく月額の手取りは◯万円である、借金があり毎月◯万円の返済をしているなどです。相手としても、裁判を起こすためには手間や費用がかかること、仮に裁判で判決を得たとしても、現実的にこちらが支払えない場合には回収が難しくなること等を考慮して、分割払いに応じてくれることが期待できます。
公正証書を作成する
分割払いの場合、相手は、こちらが途中で支払を辞めてしまうことに対して大きな懸念を持ちます。そこで、そのような場合には、公正証書の作成を提案することを検討しましょう。公正証書とは、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことをいいます。この公正証書に、「分割払いの支払を怠った場合には強制執行に服する」といった「強制執行認諾文言」を付けることで、相手は裁判を経ずに強制執行(差押え等)ができます。相手としても、支払いが滞れば強制執行ができるという担保を得ることができるので、分割払いに応じてもらいやすくなるでしょう。
連帯保証人を用意する
連帯保証人とは、債務者(金銭の支払等の法的義務を負う者)が義務を履行しない場合に、債務者に代わりその義務を履行する責任を負う人のことをいいます(民法第446条、第454条)。つまり、相手は、こちらが慰謝料の支払いをしない場合には、連帯保証人に慰謝料を支払うよう請求ができます。こちらも公正証書と同様、支払いが滞った際の担保になるため、相手に安心感を与えることが期待できます。
ただし、連帯保証人になってもらう人には、不倫の事情を話す必要があること、相手から連帯保証人に直接請求がいってしまい、連帯保証人になってもらった人に迷惑をかけてしまう可能性がある点には注意が必要です。
頭金を用意する
例えば100万円の慰謝料のうち、50万円は一括で支払い、残りの50万円は分割で支払うといった形で、頭金を用意して交渉することも考えられます。
全額を分割で支払う場合と比べて全体の支払期間が短くなることから、相手も応じやすくなることが期待できます。
慰謝料のうち一部の支払を終えたら残額を免除してもらう
不貞慰謝料の取り決めの場合、支払義務を認める金額は高めとしたうえで、そのうちの一部の支払いを期限に遅れることなく終えた場合には、残額の支払を免除する、という約束をする場合があります。
例えば、慰謝料200万円の支払義務をこちらが認めたうえで、100万円の分割払いを毎回期日に遅れることなく終えた場合には、残額の100万円の支払いは免除してもらうといった形です。
こちらが分割払いをきちんとしなければ、高額の慰謝料を支払わなければならなくなるので、相手としても期日どおりに支払ってもらえるだろうという期待が高くなり、交渉がまとまりやすくなる可能性があるでしょう。
ただし、こちらとしては本来支払うべき額より高額の慰謝料の支払義務を認めなければならないという点には注意が必要です。
3 分割払いの場合、利息も支払う必要がある?
慰謝料を分割で支払う場合、利息を支払う必要があるのか心配な方もいるでしょう。
しかし、実務上は、慰謝料の支払いの際に利息の合意をすることは稀であり、利息の合意がなければ、期日に遅れず支払う限り、利息を支払う必要はありません。ただし、相手から「分割払いの期限に遅れたら利息を支払って欲しい」との条件を出される可能性はあります。
4 分割払い交渉にあたっての注意点
高額な慰謝料を求められる可能性がある
慰謝料の分割払いの交渉をする場合、相手としては、当然「分割にするのであれば、こちらもリスクを負うのだから、慰謝料の額を高めにしてほしい」と考えるでしょう。実務上も、一括で支払うことを条件に慰謝料の額を下げてもらうといった交渉をすることもありますから、分割払いの場合、相手が相対的に高めの慰謝料を要求してくる可能性がある点には、注意が必要です。
必ず合意書を作成する
慰謝料を分割払いする場合、その金額や条件について、必ず合意書(示談書)を作成するようにしましょう。
合意書がないと、相手が「分割の約束などしていないから今すぐ一括で支払え」と言ってくるなど、後々トラブルとなってしまう可能性があります。
合意書の作成方法は、以下のコラムで解説しています。
精神的な負担が長期間続いてしまう
慰謝料の支払いを分割で行う場合、一定の期間、相手に対して毎月振込みを行う必要があります。仮に支払いが遅れてしまった場合には、相手から督促を受ける等、不倫問題の完全な解決までに長期間を有してしまい、精神的な負担が長期間続いてしまうことにもなりかねません。
どのような条件で分割とするのかは、慎重に検討した方がよいでしょう。
5 まとめ
不倫をしてしまい、相手から慰謝料を請求されている場合、ご自身のみで対応すること大きな精神的負担となります。そのような中で、さらに分割払いの交渉をすることは、困難な場合が多いでしょう。当事務所では、不貞慰謝料に関するご相談を数多くお受けしており、慰謝料の減額や分割払いの交渉の経験も豊富です。不貞慰謝料を請求されていてお悩みの方は、お気軽に問い合わせフォームよりご連絡ください。
