不倫は民法上の不法行為に当たるため、不倫をした場合には不法行為に基づく慰謝料請求訴訟を提起される可能性があります。
本稿では、不倫を理由とする慰謝料請求の訴状が届いた場合の対処法を解説いたします。
目次
1 不倫慰謝料の訴状と答弁書とは
既婚者と肉体関係を持つことを「不貞行為」といいます。
不貞行為(いわゆる「不倫」)は、民法上の不法行為に該当するため、肉体関係を持った相手方の配偶者に対し、損害賠償(慰謝料)を支払う義務が生じます(民法第709条、同第710条)。
相手方の配偶者は、裁判所に対し、不倫を理由とする慰謝料請求訴訟(裁判)を提起することができます。
訴訟が提起された場合、訴状の副本(写し)、証拠の写し、期日通知書(裁判の日時が記載された書面)、答弁書の用紙が送られてきます。
「訴状」とは、裁判所に提出される請求内容とその理由を記載した書面のことをいいます。不倫慰謝料を請求する訴状の場合、請求する慰謝料の金額と不倫の具体的内容等が記載されています。
「答弁書」とは、訴状に対する認否(請求内容や事実を認めるか否か)、反論がある場合には反論の具体的な内容を記載する書面です。
後述のとおり、訴状が送られてきた場合には、裁判所に答弁書を提出する必要があります。
2 訴状係属
不倫慰謝料の訴状が届いている場合、不倫相手の配偶者が裁判所に訴状を提出され、受付がなされていることになります。
訴状を受領すると、訴訟が係属(裁判が開始)することになります。
訴状を受領しないと、裁判は開始されませんが、受領を拒否し続けた場合、職場に送達されたり(「就業場所送達」といいます)、受領していなくても送達が完了したものとみなされる方法により送達がされる(「付郵便送達」といいます)可能性があるので、受領を拒否するのは避けた方が良いでしょう。
特に、付郵便送達の場合、訴状の内容や裁判の日時を知ることができませんので、答弁書の提出や期日への出頭ができず、不貞行為があったという相手方の主張が全面的に認められ、慰謝料の減額ができないおそれがあります。
3 対応方法
①訴状・証拠の内容と裁判の日時を確認する
訴状が届いたら、まずは訴状及び証拠の内容と第1回口頭弁論期日(第1回目の裁判)の日時を確認しましょう。
弁護士への依頼を考えている場合も、弁護士へ相談するに当たり、訴状の内容や証拠を説明する必要があるため、必ず確認するようにしましょう。
また、前述のとおり、訴状が送られてきた場合、第1回口頭弁論の期日通知書が添付されています。
第1回口頭弁論期日の日時を確認しておかないと、いつまでに答弁書を提出する必要があるのかが分からないため、期日通知書に記載のある第1回口頭弁論期日の日時を必ず確認しましょう。
通常、答弁書の提出期限は、第1回口頭弁論期日の1週間前に指定されています。
また、答弁書の提出期限を過ぎたり、第1回口頭弁論に無断で欠席してしまうと、不貞行為があったという相手方の主張が全面的に認められ、慰謝料の減額ができないおそれがあります。
②答弁書の作成
訴状及び証拠の内容と第1回口頭弁論期日の日時を確認したら、答弁書を作成しましょう。
答弁書には、訴状に記載されている「請求の趣旨」(「被告は、原告に対し、300万円を支払え」等)に対する答弁及び「請求の原因」(不貞行為の具体的な内容等)に対する認否・反論を行います。
請求の趣旨に対する答弁は、一般的に以下のように記載します。
- 1 原告の請求を棄却する
- 2 訴訟費用は原告の負担とする
「請求の原因」(不貞行為の具体的な内容等)に対する認否は、相手方の主張する内容を「認める」、(法的評価を争う場合)「争う」、「否認する」、「不知」(知らない)の4つで行うのが一般的です。
これに加えて、請求の原因記載の事実に対する具体的な反論を行います。
例えば、「不貞行為を行なったことはない」、「既婚者であると知らなかった」、「肉体関係があったことは事実であるが、不倫相手と肉体関係を持つ前に婚姻関係は破綻していた」、「不貞行為があったことは認めるが、婚姻期間が短期であるなどの事情からすれば、原告の請求する慰謝料額は高額に過ぎる」などです。
なお、不貞行為がない場合の詳細は、以下のコラムで解説しております。
不貞行為を理由とする慰謝料を支払う必要がない場合の詳細は、以下のコラムで解説しております。
慰謝料の減額事由の詳細は以下のコラムで解説しております。
また、請求の原因に対する反論内容を証明する証拠がある場合には、答弁書と併せて証拠を提出すると良いでしょう。
答弁書の提出期限までに具体的な反論が難しい場合には、「請求の原因に対する反論は追って行う」と記載し、答弁書を提出しても問題ありません。
③答弁書の提出
答弁書の作成が完了したら、提出期限までに裁判所に答弁書を提出します。
答弁書の提出は、郵送・FAX・裁判所へ直接持参する方法があります。
答弁書を提出するに当たっては、相手方も答弁書の内容を確認するために、裁判所だけでなく、相手方にも答弁書を送付するようにしましょう。
④第1回口頭弁論期日への出頭
答弁書の提出が完了したら、第1回口頭弁論期日に出頭しましょう。
原則は直接裁判所へ出頭する必要がありますが、遠方の場合には、ウェブ会議や電話会議による参加を認めてもらえることもあるので、事前に裁判所の担当書記官に連絡すると良いでしょう。
また、答弁書は、裁判所に出頭しなくても、出頭して陳述した(答弁書の内容を読み上げた)とみなす制度がありますので(「擬制陳述」といいます。民事訴訟法第158条)、擬制陳述を行う場合には、答弁書にその旨記載するようにしましょう。
具体的には、「第1回口頭弁論期日は、擬制陳述とさせていただきたくお願い申し上げます」と記載すると良いでしょう。
4 不倫慰謝料の訴状が届いた場合には弁護士に相談を
前述のとおり、訴状が届いた場合には、裁判手続が開始されていることになります。
裁判手続は非常に複雑であり、また、法的知識が必要になる場合もありますので、不倫慰謝料の訴状が届いた場合には弁護士に相談することをお勧めします。
当事務所は、不貞慰謝料案件に注力しており、不貞行為を理由とする慰謝料請求訴訟の経験も豊富です。
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