配偶者の不貞行為やDVを理由に離婚をする場合、相手から慰謝料をもらうことができます。
この慰謝料について、税金がかかるのか心配な方もいらっしゃるでしょう。
そこで本記事では、離婚をする際の慰謝料に税金がかかるのかについて解説します。
1 慰謝料には税金がかからないのが原則
離婚の慰謝料は、相手の不法行為(不貞行為やDV、モラハラなど)によって生じた精神的損害を賠償するために支払われるものです(民法第709条、710条)。
そして、不法行為による損害賠償金については、所得税法上、非課税と定められています(所得税法第9条1項18号、所得税法施行令第30条2号)ので、慰謝料の支払を受けたとしても、原則として税金を納める必要はありません。
2 例外的に課税がされるケース
上記のとおり、慰謝料には課税がされないのが原則ですが、以下のような場合には例外的に課税がされる可能性があります。
①慰謝料の金額が高額すぎる場合
支払われた慰謝料の額が相場に比べて明らかに高額すぎる場合、実質的には贈与に該当するとして、慰謝料として相当と認められる金額を超えた部分については、贈与税が課税される可能性があります。離婚の場合、慰謝料の額はおおよそ300万円程度に収まることが多いため、その額を大きく超える慰謝料を受け取る場合には注意が必要です。なお、贈与税には年間110万円の基礎控除がありますので、年間で110万円を超えた金額の贈与を受ける場合に贈与税を納める必要があります。
贈与税の計算方法は以下のとおりであり、税率と控除額は贈与を受ける金額により異なります。詳細は国税庁のホームページで確認できます。
| (贈与を受けた金額-基礎控除額110万円)×税率-控除額 |
②慰謝料として不動産をもらった場合
慰謝料は、金銭で支払うのが原則ですが、お互いの合意があれば、不動産などの資産を慰謝料代わりにもらうことも可能です。不動産は、立地や状態によっては評価額が高額になる傾向にあります。上記の例と同様、慰謝料としての相場を大きく超えた高額な不動産を譲りうけた場合には、贈与税の課税がされる可能性があります。
ただし、居住用の不動産については、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産を贈与した場合には、贈与税の申告をすることにより基礎控除額110万円のほかに最高2000万円まで控除(配偶者控除)できるという配偶者控除を利用できる場合があります。
③慰謝料であることが不明確な場合
税務署に対して客観的に慰謝料であることが証明できない場合も、単なる金銭の贈与であるとして贈与税の課税対象となってしまう可能性があるので注意が必要です。
例えば、口頭のみで合意したために慰謝料を支払う旨の合意書がなく、支払時期も離婚の日から早々程度離れているといった場合、「離婚慰謝料である」と説明しても理解を得られない可能性があるでしょう。
④偽装離婚である場合
慰謝料を支払うべき理由がないにもかかわらず、贈与税の課税を避けるために離婚届の提出のみを行い、実際は夫婦としての共同生活を続けているといった場合には、偽装離婚を疑われ、贈与税の課税対象となる可能性があります。
3 離婚時に慰謝料をもらう際に注意すべきポイント
離婚協議書を作成する
前述のとおり、離婚時に慰謝料をもらう際には、税務署に対しそれが慰謝料の趣旨で支払を受けたものであると客観的に説明できる必要があります。
慰謝料をもらう際には、必ず離婚協議書を作成するようにしましょう。離婚協議書を作成することで、仮に税務署から説明を求められても客観的に証明が可能なほか、相手とのトラブル(慰謝料が支払われない・合意したはずなのに額で揉めるなど)を避けることにもつながります。
離婚協議書の作成方法は、以下のコラムで解説しています。
相場を踏まえて慰謝料の額を決める
既に説明したとおり、相場より高額の慰謝料をもらうと、贈与税の課税対象とされてしまい、多くの税金を納めることになってしまう可能性があります。
相場を踏まえて相手と交渉することで、相手もスムーズに支払に応じてくれる可能性が高まりますので、相場を踏まえて相手と交渉するとよいでしょう。
慰謝料として不動産をもらう場合には事前に専門家に相談する
不動産は一般的には高額になりやすく、贈与税の問題だけでなく、譲渡する側においても譲渡所得税が発生する可能性があるなど、税務上の注意が必要になる点が多いです。慰謝料として不動産をもらう場合には、税務上問題ないか、必ず事前に税理士に相談するとよいでしょう。
また、離婚に際して不動産を譲りうけたい場合には、慰謝料ではなく財産分与としてもらうという方法もあります。弁護士に相談することで、財産分与に関するアドバイスももらうことができるでしょう。
財産分与については、以下のコラムで解説しています。
必ず配偶者本人から支払ってもらう
相手方に慰謝料を支払うお金がない場合、相手が親族からお金を借りて慰謝料を支払うといった場合が想定できます。このような場合に、親族から直接支払いをしてもらい、相手が後ほど返すという方法をとってしまうと、外観上は相手の親族から贈与を受けたとみえてしまい、慰謝料の支払であることが分かりづらくなってしまいます。親族からの贈与であるとして贈与税の課税対象となってしまう可能性があるため、相手が親族からお金を借りる場合でも、一旦相手の口座にお金を送金してもらうなどして、必ず相手本人から支払を受けるようにしましょう。
5 まとめ
離婚の慰謝料には税金がかからないのが原則ですが、状況によっては税金がかかってしまい、思わぬ出費となってしまう可能性があります。当事務所は、離婚に関するご相談を数多くお受けしており、解決実績も豊富です。また、税理士と提携しておりますので、離婚の際の税金に関するご相談もワンストップでお受けすることが可能です。問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
