新静岡駅前法律事務所

離婚慰謝料はどんな場合に請求できる?弁護士が詳しく解説

2024-03-13
不貞慰謝料 離婚

離婚をするとなった際の関心事の一つとして、慰謝料の請求ができるかという点があるでしょう。

夫婦が離婚をするときは、その理由等から慰謝料を相手に請求できるケースがあります。

本記事では、慰謝料が発生するケースについて解説した上で、DVによる慰謝料について詳しく説明します。

目次

1. 離婚慰謝料とは

慰謝料とは、不貞行為などの相手方の不法行為によって精神的苦痛を受けた場合に請求できる金銭のことをいいます。

ですから、離婚をする場合に必ず慰謝料が請求できるというわけではありません。慰謝料が請求できるのは、相手方に不法行為がある場合に限られます。

また、離婚に伴い発生する慰謝料としては、離婚の原因となった個々の事実(不貞・暴力など)により被った精神的苦痛に対する慰謝料(不貞慰謝料など)と、そういった事実によって離婚をやむなくされたことの精神的苦痛に対する慰謝料(離婚自体への慰謝料)が存在します。

ただし、離婚の原因となった事実があり、そのために離婚をせざるを得なくなるという意味で密接な関連性を持つものであり、実務上は、それぞれの要素を考慮して額が決定されるものの、両者を特に区別せずに慰謝料請求をするのが一般的です。

ただし、後者の慰謝料(離婚自体への慰謝料)については、特段の事情がない限り、夫婦以外の者に対して請求することは認められないという判例があります(最判平31.2.19)。例えば夫の不貞相手に対して慰謝料を請求する場合は、不貞行為により被った精神的苦痛に対する慰謝料のみを請求していくこととなります。

2. 慰謝料を請求できるケース

上で述べたように、慰謝料を請求できるのは、相手方(請求される側)に不法行為があった場合のみとなります。

代表例としては、相手方が不貞行為をした場合、DVやモラハラをした場合、悪意の遺棄をした場合、モラハラがあった場合、セックスレスの場合が挙げられます。

以下簡単にそれぞれについて解説します。

(1)不貞行為

一般的に不貞行為というと、「不倫」をイメージされる方が多いと思いますが、単に異性と食事に行っただけのような場合には、「不貞行為」には該当しません。

不貞行為とは、夫婦の貞操義務違反(配偶者以外の異性と性的関係を結ぶこと)をいうからです。

そのため、不貞行為を理由として慰謝料を請求する場合には、基本的には、性行為があったことを証明することが必要となります。

(2)DV

家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス、DV)については、殴る・蹴るといった身体的DVに加え、執拗に相手に対し罵声を浴びせるような精神的DV、性行為の強要といった性的DVなどが挙げられます。

いずれも、慰謝料の請求原因となりえます。

(3)悪意の遺棄

正当な理由なく夫婦間の義務(同居義務、扶養義務など)に反することをいいます。

例えば何の理由もなく突然家を出て一人暮らしを始めたり、生活費を一切払わない場合などが悪意の遺棄に該当します。

(4)セックスレス

正当な理由がなく性交渉を拒み続ける場合、慰謝料の発生原因となることがあります。

ただし、お互いの体調等の事情もあることが通常ですから、概ね1年程度セックスレスであった場合に認められるケースが多いです。

3. 慰謝料の相場について~DVの場合~

離婚の慰謝料については、離婚に至った原因や婚姻期間等によって異なってきますが、概ね50万円から300万円程度のことが多いです。

DVにより離婚に至った場合でも同様ですが、以下ではDVにより離婚した場合に慰謝料の額に影響を与える要素について説明します。

慰謝料に影響を与える要素として、以下のようなものが挙げられます。

1. DVの回数

日常的に暴力を振るわれていたなど、DVを受けていた回数が多い場合には、慰謝料が高額となる傾向があります。

2. DVの期間

DVを受けていた期間についても、慰謝料の額を決める上での考慮要素となります。

長期にわたってDVをされていたという事情がある場合には、慰謝料が高額となる傾向があります。

3. DVによって負った怪我の程度

例えば相手に殴られたことによって骨折した、後遺症が残ったなどの事情がある場合には、慰謝料が高額となることがあります。

4. DVの内容

数時間にわたって殴り続ける、武器を使用して殴るなどの暴力の態様が激しいことも、慰謝料の額の決定に際し考慮されます。

4. 慰謝料の請求にあたって

3」で述べたように、様々な考慮要素を加味して慰謝料の額が決まることとなりますので、被害を受けた場合に適正な額の慰謝料を受け取るためには、証拠により証明できることが必要となります。

例えば、暴力を振るわれて怪我をしてしまった場合には、病院に行って診断書を取るようにしましょう。

怪我がある程度治ってから行くと被害の大きさが医師に伝わらないことも想定されますので、なるべく早めに病院を受診することをお勧めします。

また、どういった状況で怪我をしたかを、医師にきちんと説明するようにしましょう。

病院を受診するのが何らかの事情で難しい場合には、自分で傷の写真を撮影しておくことも有効です。

いつどのような暴力を振るわれたかについて、日記(日付や態様を具体的に記載すると良いです)に残しておくことも考えられます。

なお、身の危険を感じる場合には、まずは速やかに専門の相談機関や警察に通報し、ご自身の安全を確保した上で証拠を集めて、相手方と離婚や慰謝料について交渉することをお勧めします。

5. DVにより離婚する場合の流れ

(1)交渉

DVの証拠が集まり、相手から慰謝料を支払ってもらった上で離婚をすると決めた場合には、まずは相手と交渉することから始めます。

この際に、慰謝料の額のみではなく、お子さんがいる場合の親権や養育費、お互いの財産の分与など、離婚にあたっての条件を決めることで、スムーズに離婚することができるでしょう。

ただし、繰り返しとはなりますが、身の危険を感じるような場合には、自分一人で交渉せずに、弁護士に相談することをお勧めします。

(2)調停

相手と交渉が整わない場合には、離婚調停を申し立てる必要があります

調停は、2名の調停委員により、お互いの意見を交互に聞く方法で実施されます。

身の危険を感じる場合でも、直接相手方と会う必要はありません。

なお、DVによる離婚の場合には、裁判所にその旨を伝えることで、こちらの待合室が相手に分からないよう配慮してくれます。

相手に暴力を受けたことの証拠や、希望する離婚条件を伝えて、調停委員を介して相手と交渉していくこととなります。

(3)訴訟

調停は、両者が合意しない限り成立しないので、どうしても協議が整わない場合には、訴訟を提起する必要があります。

この場合には、裁判所によって、法律に定められている離婚の理由(婚姻を継続しがたい重大な事由、民法767条1項5号)があるかや、慰謝料の額について判断されることとなります。

裁判所にこちらの主張を認めてもらう必要がありますので、説得力のある形で主張する必要があります。

4」で述べたような証拠がある場合には、有効といえるでしょう。

6. まとめ

慰謝料の基本的な考え方や、DVにより離婚する場合の慰謝料について、ご理解いただけたでしょうか。

特にDVを受けている場合、相手と直接交渉をすることが精神的に大きな負担となったり、また身体の危険が生じてしまう場合もあります。

また、DVがされている場合には、どういった対応がとれるのか含めて第三者である弁護士に相談することで、客観的な立場から最適な解決策のアドバイスを受けることもできるでしょう。

今お悩みの方は、ぜひ一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

著者

弁護士 日吉加奈恵

弁護士
日吉加奈恵

静岡県弁護士会所属

東京都内の法律事務所に出向経験もあり、離婚・男女トラブル・相続等の個人案件の経験も豊富。

趣味は旅行と野球観戦。

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