近年、転職をする際に企業の口コミを閲覧し、転職活動の参考にする人が増えています。
このような中で、転職会議に事実と異なる口コミが記載されてしまうと、企業のイメージに与える影響は大きいです。
そこで本記事では、転職会議の口コミ削除について解説します。
目次
1. 転職会議の口コミは削除できる?
転職会議とは、現社員や元社員が企業の評判や年収、面接対策などを口コミとして投稿する転職総合サイトです。
このような口コミサイトについては、ネガティブな情報も記載されているからこそ信頼性高いとも考えられるため、企業にとって良い口コミではないからといった理由のみでは削除できません。
しかし、口コミの内容が名誉権やプライバシー権などの権利を侵害している場合や、名誉棄損(刑法第230条)、侮辱罪(刑法第231条)に該当する場合には、削除を請求することができます。
また、転職会議には利用規約や口コミ投稿ガイドラインが定められています。
これらの規約において禁止されている口コミについては、削除してもらえる可能性があるでしょう。
なお、投稿の権利侵害については以下のコラムでも解説しています。
2. 削除がされやすい口コミ
以下では、具体的に削除がされやすいと考えられる口コミについて、具体例と共に解説します。
個人の特定につながる口コミ
他人のプライバシー権(自己の私生活上の事柄をみだりに公開されない権利)を侵害するような口コミは、削除されやすいでしょう。
例:「○○部長は東京都中野区○○に住んでいるくせに仕事ができない」
名誉権を侵害する口コミ
事実を適示して人の名誉を傷つけることを名誉棄損(名誉権侵害)といいます。
他人の権利を侵害する口コミであり、削除されやすいでしょう。
例:「○○係長も○○部長も仕事でミスしてばかりだ」
人を侮辱する口コミ
人を侮辱し、その人の名誉感情(人が自分自身の人格的価値について持つ主観的な評価)を傷つけるような口コミについても、削除がされやすいと考えられます。
例:「○○課の○○さんはバカで、しかもハゲている」
実体験に基づかない口コミ
実体験に基づかない口コミは、口コミガイドラインでも禁止されています。
ただし、事実に基づくか否か判断が難しい場合には、削除されない可能性がある点には注意は必要です。
例:「残業が1日20時間ある」
3. 削除が難しいと考えられる口コミ
反対に、以下のような口コミは、建設的な批判等であり、権利侵害や規約違反に該当しないとして、削除をしてもらえない可能性があります。
抽象的な表現にとどまる口コミ
内容が抽象的であり権利侵害に該当しないという場合や、単に個人の意見を述べた口コミは、削除がされづらいと考えられます。
例:「職場の雰囲気が自分に合わない」
会社への批判的な意見
会社の方針への批判的な意見というだけでは、口コミは削除されない可能性が高いです。
例:「もう少し新人教育に力を入れるべきだ」
4. 転職会議の口コミ削除依頼の方法
①問い合わせフォームより削除依頼を行う
まずは、問い合わせフォームより削除依頼をすることを検討しましょう。
比較的簡便で、手間が少ない方法です。
なお、運営会社から、「送信防止措置依頼書」(削除依頼のための書式をいいます)を郵送するよう案内があることがあります。
その場合は、②で述べるテレサ書式も参考に、依頼書を作成して送付しましょう。
この際に、主張を客観的に裏付けることのできる証拠(記載内容が虚偽であることが分かる資料等)があれば、同封すると良いでしょう。
②一般社団法人テレコムサービス協会が作成したガイドラインに基づいて削除請求をする
一般社団法人テレコムサービス協会は、インターネットサービスのプロバイダ等が所属している団体です。
同団体が公開している削除請求の書式に必要事項を記載することにより削除が請求できます。
転職会議側では、口コミが権利侵害をしていると明らかであるか、規約違反であるかを確認し、明らかに権利侵害や規約違反があると判断すれば、口コミを削除します。
転職会議側では権利侵害や規約違反が明らかとまでは言えない場合には、投稿者に口コミの削除に同意するか意見を聞きます。
多くのサイトでは、削除に同意する旨の回答があったときや、回答がないときには削除をし、削除に同意しない旨の返信があった場合には削除しないといった対応がとられます。
③裁判所を通じて削除を請求する
上記の方法を試しても口コミが削除されない場合には、裁判手続を利用することを検討しましょう。
裁判所を通じた削除依頼の手続きは、仮処分命令申立という方法で行うのが一般的です。
仮処分とは、争いのある権利関係について、暫定的な措置をすることを認める手続きです。
権利侵害のある投稿に関し、裁判所に削除を申し立てると、裁判所が削除の必要性を判断し、裁判所が必要性を認めた場合には投稿を削除せよという仮処分命令が発令されます。
通常の民事訴訟において削除請求をすることもできますが、仮処分の方が簡易・迅速に判断をしてもらえるため、投稿を放置しておくことにより口コミを見る人が増えてしまい、企業イメージがどんどん損なわれてしまうことを早めに防ぐためにも、仮処分の方法がお勧めです。
仮処分の申立ては、申立書を管轄の裁判所(転職会議の場合、運営者の株式会社リブセンス の本社所在地を管轄する東京地方裁判所)に提出することで行います。詳しい手続きは、以下のコラムで解説していますので、ご確認ください
5. 転職会議の口コミを削除する場合の注意点
口コミが完全に削除されないことがある
転職会議側の判断で口コミが削除される場合、口コミの全てではなく一部のみが削除され、その部分が伏字になったうえで「権利者の申立てにより一部削除されています」などの表示がされることがあります。
必ず口コミの全てが削除されるわけではない点や、企業側が削除依頼をしたことが分かってしまう仕組みである点には、注意が必要です。
削除依頼をする前に証拠を保存しておく
特に悪質な口コミ等については、投稿者に対して、損害賠償などの法的措置を取ることを検討する企業も多いでしょう。
このような場合には、必ず削除依頼前に証拠を保存してから削除依頼を行う必要があります。
一度削除がされてしまうと、投稿者の特定に必要な情報が足りずに、投稿者の特定やその後の損害賠償請求が難しくなってしまう可能性があります。
なお、投稿者の特定は、発信者情報開示命令といった手続きを用いるのがお勧めです。
開示命令については、以下のコラムで解説していますので、ご参照ください。
6. まとめ
転職に際し、口コミを重視する人は増えていることから、悪質な口コミが企業に与える影響は多いです。
しかしながら、転職会議の口コミは削除依頼のみでは削除されないケースもあり、裁判手続を用いて削除を請求するには、専門的な知識が必要となります。
当事務所には、東京都内の大手IT企業で企業内弁護士として勤務した経験のある弁護士が所属しておりますので、会社への悪質な口コミでお困りの方は、一度お気軽にお問い合わせください。
