「配偶者からDVを受けているので離婚したい」
このように、配偶者の暴力に悩んでいる方からのご相談を近年多くお受けします。
そこで、本記事ではDVによる離婚いついて解説します。
目次
1. DVを理由に離婚できる?
DVとは、ドメスティック・バイオレンスの略であり、家庭内など夫婦間や同居人など親密な関係にある人からの暴力のことを指します。
DVを理由に離婚をする場合には、①相手と協議をして離婚する(協議離婚)、②離婚調停にて離婚する(離婚調停)、③裁判を起こして裁判官の判断において離婚する(裁判離婚)の3つの方法が考えられます。
離婚は当事者の合意があれば可能であるため、相手と合意さえできれば協議離婚にて離婚が可能です。しかし、暴力を振るうような相手と協議するのは難しいことが多いでしょう。
協議が難しい場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停において離婚をすることになります。離婚調停では、2名の調停委員を通じて相手方と離婚条件などについて協議し、相手と離婚することや離婚条件について合意できるよう目指していきます。
なお、離婚調停については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
離婚調停でも相手と合意ができない場合には、訴訟を提起して離婚裁判で、裁判官に離婚を認めてもらう必要があります。
離婚裁判の場合には、民法が定める以下の離婚事由がある場合にのみ離婚が認められます。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
配偶者からのDVがあった場合、上記のうち「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当することを主張していくことになります。
なお、離婚裁判については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
2.DVを理由に離婚する場合、慰謝料を請求できる?
慰謝料とは、相手の不法行為により被った精神的苦痛を慰謝するために支払われる損害賠償のことです。
DVは不法行為に該当しうるものですから、離婚をする場合には、慰謝料を相手に請求できます。
ただし、例えば1回のみ相手に殴られたといった、DVの回数が少なく継続性もない場合には、慰謝料が認められないことがあるので注意が必要です。
3. 慰謝料の相場について
離婚をする場合の慰謝料の相場については、個々の事情により異なりますが、概ね50万円から300万円程度のことが多いです。
DVを理由に離婚する場合、慰謝料の額に影響を与える要素として、以下のようなものが挙げられます。
1. DVの回数
日常的に暴力を振るわれていたなど、DVを受けていた回数が多い場合には、慰謝料が高額となる傾向があります。
2. DVの期間
DVを受けていた期間についても、慰謝料の額を決める上での考慮要素となります。
長期にわたってDVをされていたという事情がある場合には、慰謝料が高額となる傾向があります。
3. DVによって負った怪我の程度
例えば相手に殴られたことによって骨折した、後遺症が残ったなどの事情がある場合には、慰謝料が高額となることがあります。
4. DVの内容
数時間にわたって殴り続ける、武器を使用して殴るなどの暴力の態様が激しいことも、慰謝料の額の決定に際し考慮されます。
4. 慰謝料の請求にあたって
前述のとおり、様々な考慮要素を加味して慰謝料の額が決まることとなりますので、被害を受けた場合に適正な額の慰謝料を受け取るためには、証拠により証明できることが必要となります。
例えば、暴力を振るわれて怪我をしてしまった場合には、病院に行って診断書を取るようにしましょう。
怪我がある程度治ってから行くと被害の大きさが医師に伝わらないことも想定されますので、なるべく早めに病院を受診することをお勧めします。
また、どういった状況で怪我をしたかを、医師にきちんと説明するようにしましょう。
病院を受診するのが何らかの事情で難しい場合には、自分で傷の写真を撮影しておくことも有効です。
いつどのような暴力を振るわれたかについて、日記(日付や態様を具体的に記載すると良いです)に残しておくことも考えられます。
なお、身の危険を感じる場合には、まずは速やかに専門の相談機関や警察に通報し、ご自身の安全を確保した上で証拠を集めて、相手方と離婚や慰謝料について交渉することをお勧めします。
5. DVにより離婚する場合の流れ
(1)交渉
DVの証拠が集まり、相手から慰謝料を支払ってもらった上で離婚をすると決めた場合には、まずは相手と交渉することから始めます。
この際に、慰謝料の額のみではなく、お子さんがいる場合の親権や養育費、お互いの財産の分与など、離婚にあたっての条件を決めることで、スムーズに離婚することができるでしょう。
ただし、繰り返しとはなりますが、身の危険を感じるような場合には、自分一人で交渉せずに、弁護士に相談することをお勧めします。
(2)調停
相手と交渉が整わない場合には、離婚調停を申し立てる必要があります。
調停は、2名の調停委員により、お互いの意見を交互に聞く方法で実施されます。
身の危険を感じる場合でも、直接相手方と会う必要はありません。
なお、DVによる離婚の場合には、裁判所にその旨を伝えることで、こちらの待合室が相手に分からないよう配慮してくれます。
相手に暴力を受けたことの証拠や、希望する離婚条件を伝えて、調停委員を介して相手と交渉していくこととなります。
(3)訴訟
調停は、両者が合意しない限り成立しないので、どうしても協議が整わない場合には、訴訟を提起する必要があります。
この場合には、裁判所によって、法律に定められている離婚の理由(婚姻を継続しがたい重大な事由、民法767条1項5号)があるかや、慰謝料の額について判断されることとなります。
裁判所にこちらの主張を認めてもらう必要がありますので、説得力のある形で主張する必要があります。
「4」で述べたような証拠がある場合には、有効といえるでしょう。
6. まとめ
慰謝料の基本的な考え方や、DVにより離婚する場合の慰謝料について、ご理解いただけたでしょうか。
特にDVを受けている場合、相手と直接交渉をすることが精神的に大きな負担となったり、また身体の危険が生じてしまう場合もあります。
また、DVがされている場合には、どういった対応がとれるのか含めて第三者である弁護士に相談することで、客観的な立場から最適な解決策のアドバイスを受けることもできるでしょう。
今お悩みの方は、ぜひ一度弁護士に相談してみることをお勧めします。