新静岡駅前法律事務所

不倫の慰謝料を請求したい!金額は?増額できる場合とは?請求方法は?

離婚のイメージ
2023-10-01
不貞慰謝料 男女トラブル 離婚

配偶者が浮気や不倫をした場合、慰謝料の相場はいくらなのか、どういう事情があれば増額できるのか、どのように請求するのか、慰謝料請求を行う際の注意点を弁護士が解説します。配偶者又は不倫相手に対する慰謝料請求を検討している方は参考にしてください。

目次

不倫による慰謝料の金額

慰謝料の相場

不倫を理由とする慰謝料の相場は、数十万円〜300万円となります。
このような条件があるからこの金額になるという明確な基準はなく、後述する様々な事情を総合考慮して決定されます。
大まかなメルクマールとしては、以下のとおりです。

  • 不倫があったけれども離婚も別居もしていない場合→数十万円〜100万円
  • 不倫により別居しているが、離婚はしていない場合→100万円〜150万円
  • 不倫により離婚するに至っている場合→200万円〜300万円

慰謝料の増額・減額事由

離婚・別居の有無

前述のとおり、離婚・別居に至っているか否かは慰謝料額に大きな影響を及ぼします。

婚姻期間の長短

婚姻期間が長期に渡る場合は慰謝料の増額事由、短期の場合は減額事由になります。
概ね、婚姻期間が10年を超える場合には、増額事由として考慮されることが多く、婚姻期間が3年未満の場合には、減額事由として考慮されることが多いです。

不倫期間の長短

不倫の期間が長い場合、増額事由に当たります。
不倫期間が1年を超える場合には、増額事由として考慮されることが多いです。

不倫の回数・頻度

不倫の回数が多ければ増額事由、少なければ減額事由になります。
例えば、性交渉が数十回という場合には増額事由になりますが、他方、性交渉が1回のみという場合には、大きな減額事由となります。

子の有無

夫婦間の間に子がいる場合、婚姻生活に与える影響が大きいという理由で慰謝料の増額事由になります。

一方が積極的・主導的な役割を担っている場合

不倫した配偶者と不倫相手のいずれか一方が不倫に積極的・主導的役割を担っていた場合は、慰謝料の増額事由になることがあります。
積極的・主導的役割とは、例えば、当事者の一方が、職場の上司であったり年齢が高かったり性交渉を積極的に誘ったりした事情がある場合、不倫に積極的・主導的役割を担っていたと判断される可能性があります。

夫婦関係が円満でなかった場合

不倫以前に夫婦関係が円満でなかった事情がある場合は、慰謝料の減額事由になる場合があります。
なお、不倫以前に婚姻関係が破綻していたとまで認められる場合は、慰謝料請求は認められないので、注意が必要です。
例えば、不倫以前に既に離婚を前提に別居していたような場合には、婚姻関係が破綻していたと認められる可能性があります。

謝罪の有無

不倫の事実を素直に認め、謝罪をしている場合、慰謝料の減額事由に当たることがあります。もっとも、謝罪により大きく減額となるケースは少ないです。

既婚者の認識がない場合

不倫相手が既婚者であることを知らなかった場合、かつ、既婚者であることを認識できなかったことについて過失がなかった場合には、故意・過失がないとして、不倫相手に対する慰謝料請求は認められません。
慰謝料請求が認められない条件としては、過失がないことも必要になりますので、既婚者と知らなかったけれども、既婚者であると認識できなかったことに過失があったというような場合には、慰謝料請求は認められます。
ただし、上記のケースでは、不倫相手が既婚者と知らなかったという事情により、不倫相手の悪質性が軽減され、慰謝料の減額事由になることがあります。

「離婚慰謝料」と「不貞慰謝料」

離婚慰謝料」とは、夫婦の一方に違法行為があり、かつ、その違法行為により婚姻関係が破綻し離婚するに至ったと認められた場合に、請求することができる慰謝料のことです。
不倫も違法行為に該当しますので、不倫により婚姻関係が破綻し離婚に至った場合には、離婚慰謝料を請求することができます。
一方で、夫婦が婚姻関係を継続する場合には、離婚慰謝料は請求できません。
離婚はしないけれども、配偶者に慰謝料を請求したい場合には、不倫したことを理由に慰謝料請求をすることになります。これを「不貞慰謝料」といいます。
また、不倫相手に対しては、原則として、離婚慰謝料は請求できませんので、不貞慰謝料を請求することになります。
例外的に、「単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに」、不貞相手に対しても離婚慰謝料を請求できると解されています(最高裁平成31年2月19日判決民集第73巻2号187頁)。

慰謝料を請求する方法

証拠

不倫の証拠がなくても慰謝料請求はできますが、不倫の事実を否定されてしまうと、最終的に裁判で負けてしまいます。
これは、不倫の立証責任(不倫があったことを証明する責任)は、慰謝料を請求する側にあるためです。
したがって、確実に不倫を理由とする慰謝料を請求したいという場合には、不倫の証拠が必要となります。

不倫の証拠としては、以下のようなものが考えられます。

  • 配偶者と不倫相手がホテルから出てくるところを撮影した写真
  • 性交渉の動画や裸の画像
  • 配偶者と不倫相手が肉体関係のあったことを匂わせるLINE等のやりとり
  • 宿泊付きの旅行に行ったことが分かるもの(ホテルの予約履歴、LINEのやりとり等)
  • 配偶者又は不倫相手の自白(書面や録音データ)

具体的な請求方法

裁判外での請求

慰謝料請求の方法に決まりはありません。書面、電話、メール、SNSのメッセージ機能、直接の対面交渉など請求の方法は多数存在します。
もっとも、きちんと記録に残すことで、交渉が決裂して裁判になった場合、裁判外での交渉内容を証拠で提出することができます。
したがって、裁判外で慰謝料請求をする場合には、書面やメール等の記録に残る形で行うことをお勧めします
一般的には、内容証明郵便という相手方に送った書面の内容を郵便局が記録として残してくれる方法で行う方法が多いですが、相手方の住所地が分からないというケースもありますので、その場合は、メールやSMS、LINE等のデータが残る形で請求するのが良いでしょう。

裁判上の請求

裁判外の交渉が決裂した場合や裁判所に慰謝料の金額を決めてもらいたい場合は、裁判所に対し、慰謝料請求訴訟を提起する方法もあります。
訴訟を提起する場合、相手方の氏名(漢字表記・フルネーム)と住所(又は勤務先)を特定することが必要です。
配偶者と別居しているが、配偶者の住所が分からない場合、不倫相手の氏名又は住所が分からないという場合には、弁護士会照会(弁護士法第23条)という制度を利用して、携帯電話番号から携帯電話会社に契約者情報を問い合わせたり、自動車のナンバーから運輸局に所有者情報を問い合わせたり、職務上請求(戸籍法第10条の2、住民基本台帳法第12条の3等)という制度を利用して、本籍地や過去の住所から市区町村の役場に現住所を問い合わせるなどの対応が必要になります。
弁護士会照会と職務上請求は、弁護士に依頼することで利用できます。

慰謝料を請求する際の注意点

時効

不倫を理由とする慰謝料請求の根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求です(民法第709条、同法第710条)。
不法行為に基づく損害賠償請求の消滅時効は、「被害者・・・が損害及び加害者を知った時」から3年と定められているので(民法第724条1号)、不倫の事実及び不倫相手を知った時から3年を経過してしまうと、慰謝料請求が認められなくなってしまいます。
また、不法行為に基づく損害賠償請求の除斥期間は、「不法行為の時から20年間行使しないとき」と定められているので(民法第724条2号)、最後に不倫があった時から20年を経過してしまうと、請求ができません。
このように、一定の期間を経過してしまうと、慰謝料請求が認められなくなってしまいますので、消滅時効と除斥期間には注意が必要です。

恐喝・脅迫・名誉毀損・侮辱を指摘されるおそれ

不倫の事実が発覚した場合、不倫をした配偶者及び不倫相手に対し、非常に厳しい感情を持つ方が多いです。
それゆえ、相手方に対し、「慰謝料を払わないなら会社に通報する」と述べる相手方の親族に不倫の事実を告げる、直接やりとりする中で「殺してやる」と述べるなどの行為を取ってしまう方もいます。
しかし、上記のような言動を行ってしまうと、相手方より、恐喝脅迫名誉毀損侮辱などに該当するとして、警察に被害届を出されてしまったり、民事では慰謝料請求をされてしまったりするおそれがあり、実際に刑事裁判で有罪判決を受ける、民事で慰謝料請求が認められるというケースも散見されます。
したがって、相手方と交渉するに当たっては、逆にこちら側が加害者にならないよう配慮する必要があります。

慰謝料を回収できないリスク

裁判で慰謝料請求の勝訴判決を取ることができたとしても、相手方に収入や資産がない場合、慰謝料を回収できない可能性があります。
相手方の経済状況が悪い場合には、分割払いの交渉を行った上で、公正証書を作成する又は裁判上の和解を成立させ、支払が滞った際には強制執行ができるという状況を作ることで、相手方にプレッシャーをかけて、回収の可能性を高める必要があります。

まとめ

以上のとおり、不倫をした配偶者又は不倫相手に対する慰謝料請求は、法的知識や交渉力が必要になり、交渉に失敗してしまうと、適正な慰謝料を回収することができない訴訟対応を余儀なくされる、最悪のケースですとこちらが加害者となってしまい刑事事件化や慰謝料請求をされる側となってしまうリスクがあります。
ご自身で慰謝料請求の対応をすることは相当な労力を要しますし、精神的負担も大きく、リスクもありますので、すべての対応を弁護士に依頼することも検討されると良いかと思います。

著者

弁護士 長谷川達紀

弁護士
長谷川達紀

静岡県弁護士会所属

家事事件と男女トラブルを中心に月100件を超える相談に対応。

趣味はグルメ巡りとテニス。

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