新静岡駅前法律事務所

不倫相手から脅されている!対処法を弁護士が解説

2024-03-01
刑事 男女トラブル

不貞相手に関係の解消を告げる際、「別れるなら奥さんにばらすと言われた」「別れるなら慰謝料を払えと言われた」といったご相談は、よくお受けします。

こういった際に、誤った対応を取ってしまうと、取り返しのつかない事態になりかねません。

そこで、この記事では、不倫相手との関係解消にあたり問題となり得る場面とその対応について解説します。

目次

考えられるケース

①金銭の請求をされる

不倫相手から脅されるパターンとしてまず多いのが、「別れるのであれば慰謝料を支払え」などと言われるケースです。

しかし、相手もあなたが既婚者であることを知っていた場合には、基本的には、相手が慰謝料を請求できる法的根拠はありません(むしろ、相手があなたの配偶者に慰謝料を支払う必要が生じます)。

慰謝料とは、法的に保護されている権利や利益を侵害され、精神的苦痛を被った場合に請求ができるものですが、相手が既婚者であることを承知した上で肉体関係を持っている場合、そういった関係は法的に保護されるものではないためです。

ただし、すべての場合に慰謝料を支払う必要がないわけではない点に注意が必要です。

もし、相手に対して自信が独身であると偽っていて、相手もそれを信じてしまっていた場合には、貞操権侵害が成立してしまい、慰謝料を支払う必要性が生じてしまいます。

貞操権とは、「自己が誰と性的関係を持つかについては、自己が自由に決めることのできる」という権利です。

既婚者であることを知らずに肉体関係を持ったという場合、通常は、既婚者であることを知っていれば肉体関係を持つことはなかったといえるでしょう。

肉体関係を持つという意思決定にあたり重要な事実を隠されて意思決定をしてしまった、つまり、騙されて肉体関係を持ってしまったといえ、このような場合には、自由な決定をする権利(=貞操権)が侵害されたということを理由に慰謝料請求が認められることがあります。

なお、「慰謝料●●円を支払わなければ、家族にばらす」などと脅してお金を払わせた場合には、恐喝罪(刑法第249条第1項)に該当する可能性があります。

恐喝罪とは、人を脅したりして金品などを要求した場合に成立する犯罪をいいます。

②家族や職場に言うと脅される

次に多いパターンとしては、「家族や職場にばらす」というものです。

同じ職場内での不倫の場合には、「職場に伝えて処分してもらおう」と考える人が多いのか、このような脅しがされることもよくあります。

最近は、SNSですべてを打ち明けるといった脅迫も増えています

しかし、家族や職場に不倫の事実をばらしたり、SNS上で不倫の事実を公開することについては、刑法上の名誉棄損(刑法第230条1項、事実を述べることによって、その人の社会的評価を低下させること)に該当する可能性があります。また、民事で損害賠償請求を受けるリスクもあることから、相手にとってもリスクがある行為であり、経験上、実際にばらされてしまったというケースはそう多くはありません。

なお、「家族にばらされたくなければ土下座をしろ」などど、人を脅して本来義務のないことをさせた場合には、強要罪(刑法第223条1項)に該当する可能性があります。

③執拗に連絡する・つきまとう

別れを告げられた人が執拗に連絡をして復縁を迫ったり、「別れるなら死ぬ」などと連絡したり、職場や自宅付近をうろつくなどといった行動に出ることもあります。

このような行為は、ストーカー行為等の規制等に関する法律(いわゆる「ストーカー規制法」)で禁止されている「つきまとい」に該当し、ストーカー規制法違反となる可能性があります

ストーカー規制法では、「つきまとい」行為が禁止されています。

そして、この「つきまとい」行為には、例えば、職場や学校の付近をみだりにうろついたり、通勤途中で待ち伏せするなどの行為や、相手が連絡に応じていないにもかかわらず、多数回連絡することも「つきまとい」にも含まれるとされています。

取るべき対処法

①まずは落ち着いて対応する

相手はとにかく感情的になっていることから、落ち着いて対応することを心がけましょう。

一番やってはいけないのは、相手の言いなりになることです

例えば、慰謝料を支払えと言われている場合、「とにかくこの状況から解放されたい」として、金銭を支払ってしまおうと考える方もいるでしょう。

しかし、相手は通常の精神状態ではないことから、金銭を支払ってきれいに関係が解消できるということは、残念ながらあまりありません。

要求がエスカレートし、対処がより難しくなってしまうことになりかねません。

前述のとおり、相手に慰謝料を支払うべき理由がないのであれば、安易に支払うことは避けるべきです。

もし解決金として一定の額を支払う場合には、必ず相手と書面を締結し、「清算条項」を入れるようにしましょう。

清算条項とは、文字通り、事件を清算するための条項です。

相手との間で、慰謝料の支払い以外は、お互いに何も債権債務がなく(=どのような名目であっても、金銭の支払いをする必要もないし、金銭の支払いを請求もできない)、事件が完全に解決していることを示す条項となります。

ただし、今までの経験上、相手としてはお金を払ってもらうことが本来の目的ではない(どのような形でも良いから繋がりを持っていたい、復縁したい、復讐したい)ことが多いため、当事者間の話合いで清算条項を含んだ書面を締結できているケースは非常に少ないです。

なお、相手の要求が金銭以外のものであったとしても、一度相手の言うとおりにしてしまうと、相手は「こうすれば言うことを聞いてくれる」と考えてしまうため、相手の言いなりになることは避けましょう。

あまりにもしつこく連絡が来ていて「別れると死ぬ」などと言われている場合には、不安に思ってしまい、相手と連絡を取る、直接会って話がしたいという相手の要求に応じてしまう、復縁をほのめかしてしまうといった対応をしがちですが、相手の思うつぼとなってしまうことが多いため、注意が必要です。

②警察に相談する

前述した刑法上の犯罪に該当する可能性のある行為や、ストーカー規制法違反に該当する可能性のある行為の場合には、警察に相談することで、警察が刑事事件として捜査を開始したり、相手に警告を与えてくれることがあります。

ただし、警察は、すべての相談に対応してくれるわけではなく、事件性があると判断した場合にのみ捜査を開始します

そのため、証拠などが何もなく、一方の言い分のみである場合には、何らかの対応をする可能性は低いでしょう。

そこで、相手とのやり取りや、音声の録音がある場合はそのデータなど、証拠をそろえて相談に行く必要があります。

なお、既に金銭を脅し取られてしまった場合で、警察が捜査を開始し、刑事事件化(「立件」といいます)をしたとしても、警察がお金を取り戻してくれることがない点には注意が必要です。

③弁護士に相談する

警察に相談しても対応してくれない場合や、ご自身での対処が難しい場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。

弁護士に依頼をした場合には、相手と直接やり取りをしてくれるため、ご自身でやり取りをするストレスから解放されます

また、相手に対して弁護士名で警告をすることで、相手から連絡が来なくなった、というケースも多いです。

弁護士に依頼をすることにより、相手に対して、書面で、相手の行為のどういったことがどのような犯罪(や法律違反)に該当する可能性があるのかを詳細に説明してもらうことができます。

相手としても、犯罪に該当する可能性がある行為を続けることで、自身にもリスクが生じることが明確に認識できます。

また、配偶者にばらすという行為は、逆に自身が慰謝料を請求される可能性のある行為です。

相手との交渉の過程では、こういったことも説明してもらえます。

また、仮に相手となんらかの合意をする場合には、合意書面の作成も弁護士に依頼できます。

前述のような清算条項はもちろん、紛争の解決にあたって適切な書面の作成をしてもらうことができるでしょう。

さらに、以前は警察に相談に行っても対応してもらえなかったが、弁護士が介入することで、警察も本格的に動き出すということは多いです。

弁護士から警察に直接状況を説明して、警告や刑事事件化を求めることもあります。

警察が対応することで、相手としては、刑事罰に処される可能性があると認識するため、相手に対する強い抑止力になります

④配偶者や勤務先にすべてを話す

不倫の事実を配偶者や職場にばらすと脅されている場合には、配偶者や勤務先の信頼できる上司に正直にすべて話すというのも一つの選択肢です。

すべてを告白することにより、相手としては脅しのネタがなくなるため、脅迫が止まることがあります。

場合によっては、配偶者に協力してもらい、相手に不貞行為を理由とする慰謝料請求をして相手を牽制するということもあります。

もっとも、配偶者に不倫の事実を打ち明けた場合には、離婚や慰謝料請求のリスクがありますし、職場の場合には、懲戒処分を受けたり人事評価に影響を与えるおそれがあるので、配偶者や勤務先にすべてを告白するのは最終手段と考えた方が良いかもしれません。

気を付けるべきこと

不倫相手からの脅迫や執拗な連絡については、ご自身で連絡を取ることにより、相手がより感情的になってしまったり、また、相手からの連絡に狼狽してしまい相手の言いなりになってしまったりしかねないことから、こまめに返答すべきではないことがほとんどです。

場合によっては、一切連絡をすべきではないこともあるでしょう。

相手も、あなたから一切返答がなければ、時間の経過とともにあきらめるということもあるためです。

しかし、相手の連絡を無視した際によく起こる事態としては、「連絡が取れなくて心配になったから」などという理由で自宅や職場で待ち伏せをしたり、周りの人間に「連絡が取れなくて困っている」と言いふらされるなどが考えられます。

無視するというのは選択肢の一つですが、上記のように事態を更に悪化させる危険性を含んでいます

また、万が一、あなたが相手に対して不法行為(相手の法律上保護される権利や利益を侵害すること)をしてしまっている場合には、連絡を無視してしまうことで、より事態が悪化してしまうことになりかねないことについて、注意が必要です。

例えば、あなたが関係解消前に、相手の意に反して性行為をしてしまった場合には、不同意性交等罪に該当してしまう可能性があります。

このような場合には、不法行為であるとして損害賠償請求がされる可能性があることはもちろん、刑法上の犯罪に該当するものであることから、警察が捜査を開始した場合には、逮捕などをされてしまう可能性もあります。

相手と早期に示談をするなどの対応が必要です

もちろん、相手が一方的に「同意なしに性交渉された」と言っている場合もあるでしょうが、そのような場合でも、事実関係の確認などの一定の対応は必要であることから、お早めに弁護士に相談することをお勧めします。

まとめ

以上のように、不倫相手から脅されている場合であっても、慌てることはなく、冷静に対処することで解決できる場合が多いでしょう。

しかし、相手から連絡が来るだけでも大きなストレスとなってしまいますし、場合によっては仕事や家庭生活などに支障をきたしてしまうことも考えられます。

そのような場合には、弁護士に相談をすることで解決できる場合があります。

相手としても、弁護士からの警告というものは、あまり経験がないものですから真摯に受け止めてくれることが多いでしょう。

当事務所では、不倫相手とのトラブルについて、経験豊富な弁護士が最適な解決方法をご提案いたしますので、お困りの方は、一度ご相談ください。

著者

弁護士 日吉加奈恵

弁護士
日吉加奈恵

静岡県弁護士会所属

東京都内の法律事務所に出向経験もあり、離婚・男女トラブル・相続等の個人案件の経験も豊富。

趣味は旅行と野球観戦。

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