離婚をした場合には、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を分け合う「財産分与」を行う必要があります。
財産をどのように分けるか、夫婦間で話し合いがつかない場合には、財産分与調停を申し立てるとよいでしょう。
そこで本記事では、財産分与調停の申立て方法や調停を有利に進めるためのポイントについて、弁護士が解説します。
目次
1 財産分与調停とは?
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に共同で築いた財産(「共有財産」といいます)を離婚時に分与することをいい、離婚時には、いずれの名義の財産であるかに関わらず、共有財産を原則として2分の1ずつの割合で分けることになります。
この財産分与については、夫婦で協議して分け方を話し合うことになりますが、それが整わない場合には、「財産分与調停」を申し立てて、調停の中で解決を図ることがあります。調停とは、1名の裁判官(又は調停官)と2名の調停委員で構成される調停委員会の仲介により、当事者間の合意を目指す手続きです。財産分与調停の場合には、分与の対象となる共有財産の範囲や評価、分け方など、財産分与に関するあらゆる事項について協議をすることができます。
財産分与について、詳しくは以下のコラムで解説しています。
2 財産分与調停はどのように申し立てる?
財産分与調停は、以下の必要書類を管轄の裁判所に提出することで申立てができます。
| ・申立書と副本(写し)1通 ・夫婦の戸籍謄本(離婚した旨の記載がされているもの) ・事情説明書 ・進行に関する照会回答書 ・送達場所等届出書 ・申立手数料(収入印紙1200円分) ・連絡用の郵便切手(郵券)※必要な額や内訳は、事前に管轄の裁判所に確認しましょう |
管轄の裁判所は、相手方の住所地の裁判所(又は両者が合意で定める裁判所)となります。
申立書の書式や記載例は、裁判所のホームページで確認することができます。
3 財産分与調停の流れは?
財産分与調停は、通常以下のような流れで進められます。
①申立て
前述したとおり、必要書類を家庭裁判所に提出すると、申立てができます。
書類が足りていない場合や、訂正が必要な場合は、裁判所より指示がありますので、指示に従って追完、書類の補正をしましょう。
それが終わると、第1回の期日(初回期日)を裁判所と調整して決定します。
初回期日が決まると、相手方に対し、申立書の写しや期日の呼出状が送付されます。
②初回期日
事前に決定した初回期日に、家庭裁判所に出頭しましょう。
裁判所に着いたら、指定された待合室で調停委員に呼ばれるのを待ちます。
調停委員に呼ばれたら、調停室に入室し、そこで調停委員に対し、自身の主張や希望を伝えます。その後は、相手方と交互に調停室に入室し、お互いに自身の主張を調停委員に伝えることになります。
③第2回期日以降
第2回期日以降も、基本的には初回期日と同様に、交互に調停室に入室し、話し合いを係属していきます。
財産分与調停では、概ね以下の流れで話し合いを行っていきます。
①お互いの財産を互いに開示しつつ、財産分与の対象となる財産を決める
②財産分与の対象となる財産の評価額を決める
③財産分与の額(実際にどちらがどちらにいくら払うのか)を決める
④財産分与の方法(いつ、どのように支払うか)を決める
④調停の終了
調停の結果、両者の合意ができそうな場合には、合意の内容を裁判所が「調書」と呼ばれる書類に記載し、調停は成立となって終了します。
他方、調停はあくまで話し合いの手続きのため、両者の合意が成立しなかった場合には、不成立となって終了してしまいます(「不調」といいます)。
財産分与調停の場合、調停が不成立となると、自動的に審判という手続きに移行します。
審判は、調停とは異なり、裁判官が一定の判断を下す手続きのため、何らかの結論が得られることになります。
審判については、以下のコラムで詳しく解説しています。

4 財産分与調停を有利に進めるコツ
財産分与調停を有利に進めるためには、以下のポイントを意識して調停を進めるとよいでしょう。
事前になるべく相手の財産を把握しておく
財産分与調停においては、互いにお互いが保有している財産を開示しあうところから協議が始まります。
しかしながら、相手が必ずしもすんなり財産を開示してくれるとは限らないので、可能な限り事前に相手の財産を把握しておくと、開示されていない財産について指摘ができるなど、調停を有利に進められる可能性が高くなるでしょう。
財産分与で相手が財産を開示しない場合の対処法は、以下のコラムで解説しています。
特有財産の主張を忘れない
特有財産とは、婚姻期間中に、夫婦の協力とは無関係に形成された財産です。
例えば、相続により取得した財産や、婚姻前に保有していた財産は、特有財産であるため、財産分与の対象とはなりません。
特有財産であることを客観的な資料と共に主張・立証することで、本来分与すべきではない財産まで分与の対象となってしまうことを避けることができます。
特有財産については、以下のコラムで詳しく解説しています。
宿題を出された場合にはしっかり対応する
調停の進行に応じて、調停委員から、次回までにこの資料を提出してください、財産一覧表を提出してください、等、宿題を出されることがあります。
出された宿題にきちんと対応しないと、調停の進行が無駄に遅れてしまったり、調停委員からの信頼を失ってしまうということにもなりかねません。
対応が必要な事項がある場合には、指定された期日までに必ず対応するようにしましょう。
5 財産分与調停に関するよくある質問
Q1:財産分与調停の持ち物は?
財産分与調停において、必ず持ってくるよう指定される持ち物はありませんが、以下のものを持っていくと、調停がスムーズに進められるでしょう。
- 申立書など、裁判所に提出した資料一式
- 相手が裁判所に提出した資料一式
- スケジュールが確認できるもの(調停では、最後に次回調停の日程を決めます)
- メモ帳(調停の進行や宿題をメモするため)
Q2:調停に出席する際の服装は?
当職の経験上、「調停に出席する際はスーツの方が良いか?」という質問をお受けすることが良くあります。しかしながら、調停において必ずしも服装の指定はなく、スーツではなくても問題はありません。
ただし、あまりにも華美な服装や軽装については、避けた方が無難であるといえるでしょう。
6 まとめ
財産分与調停は、収集しなければならない資料が多岐にわたったり、財産の評価については専門的な知識が必要であったりと、法的専門知識がないと対応が難しい分野の一つといえますので、財産分与についてお困りの方は、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
当事務所では、財産分与を含む離婚案件に注力しており、解決実績も豊富です。
財産分与についてお困りの方は、問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
