詐欺罪とは、人を欺いて財物を交付させたり、不法に財産上の利益を得た場合に成立する犯罪です(刑法第246条)。
詐欺罪には罰金刑がないため、詐欺罪に該当する行為を行った場合には、懲役刑を課されるおそれがあります。
本稿では、詐欺罪の要件と詐欺罪で被害届を出すと言われている場合や被害届を出された場合の対処法を解説いたします。
目次
1 詐欺罪の構成要件は?
詐欺罪は、1項詐欺罪と2項詐欺罪に分けられており、それぞれ構成要件が異なります。
1項詐欺罪
①人を欺く行為をしたこと(欺罔行為)
②欺罔行為により相手方が錯誤に陥ったこと
③相手方が錯誤に基づき財物を交付したこと
④故意があること
2項詐欺罪
①人を欺く行為をしたこと(欺罔行為)
②欺罔行為により相手方が錯誤に陥ったこと
③相手方が錯誤に基づき財産上の利益を移転したこと
④故意があること
①人を欺く行為をしたこととは?
詐欺罪が成立するためには、人を欺く行為があったことが必要です。
例えば、贋作を本物と偽って販売した場合や実際には存在しない投資の話を持ちかけた場合などには人を欺く行為があったと認められます。
「お金を借りた人が返済を怠った場合に、元々返すつもりがなかったので、詐欺罪が成立しませんか?」という相談をお受けすることがありますが、「元々返すつもりがなかった」ことを立証することが困難であるため、上記のようなケースでは詐欺罪が成立しないことがほとんどです(民事上の債務不履行責任を問うことや貸金返還請求を行うことは可能です)。
②欺罔行為により相手方が錯誤に陥ったこと
「錯誤」とは、客観的事実と認識が異なることをいいます。
欺罔行為があったとしても、相手方がこれを信じなかった場合には、詐欺罪は成立しませんが、錯誤に陥る現実的な危険性があった場合には、詐欺未遂罪が成立します(刑法第250条)。
③相手方が錯誤に基づき財物を交付したこと、財産上の利益を移転したこと
相手方が錯誤に基づき財物を交付した場合には1項詐欺罪が、財産上の利益を移転した場合には2項詐欺罪が成立します。
結果的に財物を交付又は財産上の利益を移転しなかった場合には、詐欺未遂が成立します(刑法第250条)。
④故意があること
詐欺罪が成立するためには、故意があることが必要です。
誤って客観的事実と異なることを述べてしまい、相手方が錯誤に陥って金員を交付したような場合には、故意がないため詐欺罪は成立しません。
詐欺罪には過失犯も定められていないことから、上記のような場合には犯罪は成立しないことになります。
2 被害届を出すと言われたら?
詐欺罪に当たるかを確認する
相手方が詐欺罪で被害届を出すと言っている場合、まずは上記詐欺罪の構成要件に該当するかを確認しましょう。
そもそも相手方の主張する内容が詐欺罪に該当するか、詐欺罪に該当する場合には相手方の主張する内容に事実と異なる点はないか、事実と異なる点がある場合にはこれを示す証拠があるかを確認します。
詐欺罪の構成要件に該当するか、証拠の価値や評価については、法的知識が必要となりますので、弁護士に相談することをお勧めします。
なお、既に警察が被害届を受理している場合には、捜査が開始される可能性が高く、起訴される可能性も十分にあることから、後述する早期の示談交渉を開始することをお勧めします。
詐欺罪に該当する場合のリスク
詐欺罪の構成要件に該当する場合、警察に被害届を出されると、逮捕されたり、起訴されて拘禁刑を課されるリスクがあります。
拘禁刑においては、執行猶予が付くこともありますが、被害額が大きかったり、被害弁償ができていないような場合には、初犯であっても、執行猶予が付かずに実刑(刑務所に入る)となることもあります。
執行猶予が付いた場合、刑務所に入ることはありませんが、再び犯罪を犯してしまうと(詐欺罪に限定されずすべての犯罪が対象です)、執行猶予が取り消されて拘禁刑が執行されてしまいます。
また、刑法上の詐欺罪に該当する場合、民法上の不法行為にも該当するため、相手方から損害賠償請求を受ける可能性があります(民法第709条)。
示談が重要
上記刑事と民事のリスクを避けるためには、相手方と早期に示談をすることが非常に重要です。
示談が成立すると、起訴される可能性を減少させることができますし、起訴されたとしても、執行猶予が付く可能性が高まるなど、法的リスクを軽減することができます。
示談するに際しては、宥恕文言(刑事処罰を求めないという文言)を含めることで、起訴や実刑を回避できる可能性が高まります。
また、早期に示談交渉を開始することで、捜査機関(警察・検察官)が逃亡や罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれはないと判断し、逮捕される可能性を軽減することができます。
さらに、示談をする場合、清算条項(互いに示談金の支払以外の債権債務がないことを確認する条項)を含めることで、民事上の損害賠償請求のリスクもなくすことができます。
詐欺罪の構成要件に該当する場合には、被害届や刑事告訴をされる前に、早期に相手と示談交渉を開始し、示談を成立させることができれば、法的リスクを大幅に減少させることができます。
詐欺罪に該当しないことも多い
当事務所は、男女トラブル案件に注力しており、男女トラブルに関する刑事事件を多く取り扱っております。
男女トラブル案件では、「相手方から詐欺で訴えると言われている」というご相談を承ることがありますが、およそ詐欺罪の構成要件に該当しないケースも多いです。
例えば、結婚を仄めかしていないにもかかわらず、「結婚してくれると思っていたからデート代を支払ったのに、結婚する気がないなら詐欺だから訴える」と言われているというケースでは、結婚する気がないのに結婚するつもりがあると騙す欺罔行為がないことから、詐欺罪は成立しません。
しかし、上記のように詐欺に当たると言われて、関係の継続や金銭の支払(過去のデート代やプレゼント代の返還等)を求められた結果、刑事事件化することを恐れ、相手方の不当な要求に従ってしまったという事例は少なくありません。
詐欺罪の構成要件に該当しないのであれば、相手方の不当な要求に応じる必要はありませんので、まずは詐欺罪の構成要件に該当するかを弁護士に相談すると良いでしょう。
3 詐欺に関するご相談は弁護士法人新静岡駅前法律事務所へ
前述のとおり、当事務所は、男女トラブル案件に注力しており、男女トラブルに関する刑事事件を多く取り扱っております。
男女トラブル案件においては、詐欺罪の構成要件該当性が問題となることが多く、男女トラブルにおける詐欺事件の経験と実績は豊富です。
詐欺を含む男女トラブルに関する刑事事件については、ぜひ当事務所へご相談ください。
当事務所への相談をご希望の方は、問い合わせフォームよりご連絡ださい。
