調停を申し立てる場合、申立先は相手方の住所地を管轄する裁判所ですが、相手方が海外に居住している場合、どこに申し立てたら良いか分からないという方もいらっしゃるでしょう。
本稿では、相手方が海外に居住している場合の管轄と外国送達の手続を解説いたします。
目次
1 調停とは
「調停」とは、裁判所を通じた話合いの手続のことをいいます。
調停委員会(裁判官又は調停官1名・調停委員2名)が当事者の話合いを仲介してくれます。
調停は裁判所に申立てを行うことにより開始されます。
調停の申立先は、原則として、相手方の住所地を管轄する裁判所です。例外として、当事者間で合意した裁判所がある場合には、その裁判所に管轄が生じます(「合意管轄」といいます)。
2 相手方が海外に居住している場合の管轄裁判所
前述のとおり、調停の管轄裁判所は、相手方の住所地を管轄する裁判所です。
もっとも、相手方が海外に居住している場合、海外の裁判所に申し立てる必要はなく、日本国内の裁判所に申立てが可能です。
申立先は、相手方の日本国内における最後の住所地を管轄する裁判所になります。
最後の住所地は、相手方の住民票又は戸籍の附票を取得することで確認することができます。
また、相手方と連絡が取れる場合には、前述した合意管轄の方法を取ることも考えられます。
特に、相手方の最後の住所地を管轄する裁判所が申立人の住所地から遠方であったり、相手方又は相手方代理人が出頭しにくい裁判所である場合には、合意管轄の方法を検討すると良いでしょう。
3 外国送達
海外に居住している相手方に対する調停を申し立てる場合、申立書を外国の相手方の住所地に送達する必要があります(「外国送達」といいます)。
外国送達は、管轄裁判所から、外務省を経由して大使館や領事館を通じて行われます。
実務上、外国送達には、半年程度かかることが通常ですので、初回期日も半年以上先に設定されることが多いです。
申立書が送達されると、大使館や領事館から管轄裁判所に送達報告書が送られます。
4 相手方の住所地が不明な場合
相手方の海外の住所地が不明な場合には、調停を申し立てても話合いの余地がないことから、審判の申立て又は訴訟を提起することになります。
審判と訴訟は、裁判所が当事者双方から提出された書面や証拠をもとに、裁判所が紛争に対する結論を出す手続です(手続の中で当事者の合意が得られそうな場合は、調停や和解手続により紛争が解決することもあります)。
審判や訴訟の場合も、相手方に対する申立書又は訴状の送達が必要となりますが、相手方の住所が不明な場合、送達先を明示することができませんので、公示送達という方法を取ることになります。
公示送達については、以下のコラムで解説しておりますので、ご確認ください。
なお、相手方が調停の申立書を受け取らなかった場合も、話合いの余地がないことから、審判の申立て又は訴訟を提起することになります。
住所が判明しているにもかかわらず、相手方が審判書や訴状を受け取らない場合には、付郵便送達という方法で相手方への送達手続を完了させることができます。
付郵便送達については、以下のコラムで解説しておりますので、ご確認ください。
5 相手方が裁判所に出頭できない場合
相手方が海外に居住している場合、相手方が調停期日の日に管轄の裁判所に出頭できないということもあるでしょう。
現在、裁判所は、当事者の居住地が遠方であること等を理由にウェブ会議や電話会議での参加を認めることがありますが、実務において、裁判所が、居住地が外国の当事者に対し、ウェブ会議や電話会議で参加することを認めたケースは経験がありません。
海外に居住していて裁判所への出頭が難しい場合には、日本の代理人(弁護士)に依頼するのが有効です。
弁護士に依頼することで、弁護士が調停手続を代理することができるので、相手方の代わりに調停期日に出頭することが可能になります。
また、相手方が弁護士に依頼することで、相手方の弁護士と直接協議を行い、前述した外国送達や調停手続を経ずに裁判外で合意をすることができる可能性があります。
相手方と連絡が取れる場合には、弁護士に依頼することを勧めてみると良いでしょう。
6 まとめ
調停の相手方が外国に居住している場合、外国送達の手続が複雑であったり、公示送達や付郵便送達の手続が必要となる可能性があります。
ご自身での対応が難しい場合には、弁護士に依頼することを検討すると良いでしょう。
当事務所は、離婚調停や遺産分割調停等の家事調停において、外国送達の経験がございます。
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また、離婚調停、婚姻費用分担調停、遺産分割調停、遺留分侵害額請求調停の詳細については、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
