これから結婚をする方の中には、婚前契約書を作成した方が良いか気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
婚前契約には、円満な婚姻生活の一助となったり、万が一離婚となってしまった場合のトラブルを防げるなどのメリットが考えられます。
そこで本記事では、婚前契約書の作成方法や作成時の注意点について解説します。
目次
1. 婚前契約書とは
婚前契約書とは、婚姻生活を送る上での取り決めや、離婚時の財産分与などについて、婚姻前に決めておくために取り交わす契約のことをいいます。
夫となる予定の人と妻となる予定の人がそれぞれ署名捺印して作成するのが一般的で、「夫婦財産契約」や「プレナップ」と呼ばれることもあります。
2. 婚前契約書を作成するメリット
①事前に価値観をすり合わせることができる
婚前契約には、婚姻生活における家事や育児の分担や、生活費・貯金に関する事項等の内容を入れ込むことがあります。
どのような条項を入れ込むかを協議する中で、結婚後の生活を具体的にイメージできると共に、お互いの価値観や希望をすり合わせることができ、円満な結婚生活を送るための準備となることが考えられます。
②不倫やDVの防止が期待できる
婚前契約書には、不倫(不貞行為)やDVをしたら慰謝料として○○円を支払うといった条項を入れ込むことができます。
この条項があることにより、不倫やDVをしたら即慰謝料を支払われなければならないとして、不倫・DVの抑止効果が期待できるでしょう。
③離婚がスムーズにできる
婚前契約書には、離婚時の条件を定めておくこともあります。
離婚時には、養育費や親権、財産分与、慰謝料等多くの事項を決めることになりますが、婚前契約書において事前に定めておくことで、双方がその条件どおりに合意すれば、離婚の際の協議に要する時間を短縮でき、スムーズに離婚できることが期待できます。
ただし、後述するとおり、全ての条項が有効とはされない点には注意が必要です。
3. 婚前契約書に盛り込むことが考えられる内容
婚姻費用について
同居中や別居中の婚姻費用(生活費)について、事前に額を定めておく、又は双方の収入により算定するといった事項を入れておくことが考えられます。
ただし、事前に定めておいた額については、実際に別居に至った際の年収によっては額が不合理であると判断される可能性がある点には注意が必要です。
財産分与について
財産分与とは、婚姻中に築いた財産を離婚時に分与することです。
婚姻前に築いた財産(特有財産)については財産分与の対象外となるため、事前にお互いの財産のうち特有財産に該当するものを婚前契約書に記載して確認しておくことで、離婚時の財産分与に関する議論がスムーズになります。
慰謝料について
例えば、不貞行為1回につき慰謝料○円を支払うなど、不貞行為(不倫)やDVがあった際の慰謝料について事前に定めておくことも考えられます。
ただし、あまりにも高額な慰謝料(不貞行為1回につき1億円を支払う等)の場合には、公序良俗(民法第90条)に反する契約であるとして無効となってしまう可能性があるので注意が必要です。
生活に関するルール
結婚後の家事育児の分担や生活費の負担方法、宗教に関する事項(お互いに信仰は自由とする等)などの結婚生活に関するルールを事前に定めておくことが考えられます。
4. 婚前契約書作成の際の注意点
婚前契約書の作成の際は、以下の事項に留意して作成するようにしましょう。
一度決めてしまうと相手の合意なしに変更ができない
婚前契約書の作成を一度してしまうと、相手が合意しない限り変更したり、合意をなかったことにすることはできません。
契約書の作成により、合意の内容を守る義務が生じますので、守れない事項を入れてしまったり、後から変更できないと困るような点については、契約書に記載しないようにしましょう。
無効となりうる条項がある
お互いの合意の元婚前契約書を作成しても、効力が生じない条項がある点には注意が必要です。
前述のとおり、余りにも高額な慰謝料については公序良俗違反として無効となりえますし、不貞行為をしたら即離婚に応じると約束をしていても、離婚意思は離婚時に必要とされていることから、相手は離婚を拒否することも可能となります。
(ただし、相手が不貞行為をしている証拠がある場合には、裁判で離婚を求めることはできます)。
ただし、無効な条項であったとしても、相手が任意にその内容を履行することは可能ですので、双方同意のもと、無効であっても定めておく、といった対応方法も考えられます。
5. 婚前契約の作成方法
婚前契約の作成は、以下の流れで進めるとよいでしょう。
①条件について協議する
まずは、相手とどういった内容を契約書に盛り込むのかについて協議をしましょう。
相手と合意ができれば、基本的にどういった条項を入れても自由ですので、結婚後の生活を見据えて、入れ込みたい条件を協議するとよいでしょう。
②合意した内容を書面に記載する
相手と条件について合意ができたら、合意できた内容を書面に記載しましょう。
内容が明確になっていれば書式等は自由ですが、お互いが合意したことが分かるよう、双方の署名・押印をするとよいです。
なお、必要に応じて公正証書を作成するかも検討しましょう。
公正証書とは、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことです。
公証人が公証役場において当事者に確認をしながら作成するため、文書が真正に成立した(=当事者の意思に基づいて成立した)との強い推定が働き、「そのような合意はしていない」といった反論を防ぐことができます。
6. まとめ
婚前契約の作成は、弁護士に依頼をしなくても作成できますが、ご自身のみでは、法的な有効性の確認ができないという方も多いでしょう。
せっかく作成した契約書が無効とならないためにも、公正証書の作成の際は、一度弁護士に相談することをお勧めします。
当事務所では、離婚・男女トラブルに注力しており、婚前契約の作成経験も豊富ですので、お気軽にお問い合わせください。
