不倫相手に慰謝料を請求したいが、不倫相手の電話番号しか分からず、請求ができないのではないかと不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。
不倫相手の氏名や住所が分からなくても、電話番号が分かっていれば、不倫相手の氏名や住所を特定できる可能性があります。
本稿では、電話番号から不倫相手の情報を特定する方法を解説します。
目次
1. 不倫の慰謝料請求とは
不倫(不貞行為)は、民法上の不法行為に該当し、不倫相手に対し慰謝料請求をすることができます(民法第709条、同第710条)。
不倫相手の氏名や住所が不明な場合であっても、慰謝料請求をすることはできますが、慰謝料の支払を拒否されてしまったり、無視されてしまうと、訴訟(裁判)提起ができないことから、泣き寝入りということになってしまいます。
そのため、不倫相手の慰謝料請求をする場合には、不倫相手の氏名(漢字表記・フルネーム)と住所又は勤務先(訴状の送達先)を把握していることが重要になります。
2. 弁護士会照会とは
弁護士は、依頼を受けた事件の調査のために、所属弁護士会を通じて官公庁や企業などに必要な事項を照会することができます。
これを「弁護士会照会」といいます(弁護士法第23条の2)。
弁護士会照会の手数料は5500円で、手数料に加え、郵送代として数千円が生じることがあります。
不倫相手の電話番号が分かっている場合、携帯電話会社に弁護士会照会をかけることで、携帯電話の契約者情報(氏名や住所)を取得できることがあります。
なお、弁護士会照会は弁護士のみが利用可能な制度です。
また、依頼を受けている事件のみで利用できる制度なので、弁護士に依頼せずに利用できる制度でない点には注意が必要です。
また、いわゆる格安スマホの場合、弁護士会照会に対する回答を拒否されるケースが散見されます。
不倫相手の携帯電話が格安スマホである場合は注意が必要です。
3. 契約者が別人であった場合
特定できるケース
契約者が別人であっても、契約者が不倫相手の親族と推測される場合には、契約者の氏名と住所を特定できる可能性があります。
例えば、女性の不倫相手の苗字のみ分かっているケースで、同じ苗字の男性と思われる契約者情報が出てきた場合には、不倫相手の親族名義で携帯電話を契約している可能性があります。
そのような場合には、職務上請求という弁護士等の士業が依頼を受けた事件の調査のために地方自治体から住民票や戸籍を取得することができる制度を利用することにより、不倫相手の情報を取得できることがあります。
また、携帯電話会社に登録されている住所から住所が変更となっている場合も、職務上請求により現住所を特定することができます。
さらに、現在の携帯電話番号が変わっている場合も、不貞行為があった当時の携帯電話番号から契約者情報を取得できる可能性があります。
特定できないケース
例えば、携帯電話が社用携帯であり、契約者が不倫相手の勤務先の会社である場合には、不倫相手の氏名や住所を特定することができません。
不倫相手の氏名が分かっている場合には、不倫相手の勤務先を書類の送達先とすることも可能ではありますが、契約者の会社が不倫相手の勤務先でない可能性があるので、契約者情報が会社である場合、その会社を書類の送達先とするかは慎重に判断すべきです。
また、弁護士会照会により出てきた契約者情報が親族ではない場合も(友人等)、不倫相手の情報を特定できないことになります。
4. 電話番号も分からない場合
電話番号も分からない場合や電話番号の弁護士会照会で不倫相手の情報を取得できなかった場合には、他の方法で不倫相手の情報を取得することを検討しましょう。
自動車のナンバー
不倫相手が使用している自動車のナンバーが分かる場合には、運輸局に弁護士会照会をかけることで、自動車の登録情報を取得できることがあります。
自動車の所有者と使用者の登録が親族である場合も、前述した職務上請求の方法により不倫相手の情報を特定できる可能性があります。
LINEのID
不倫相手のLINEのIDが分かっている場合、LINEに対する弁護士会照会によりLINEに登録されている電話番号を取得した上で、携帯電話会社に弁護士会照会をかけて不倫相手の契約者情報を取得できる可能性があります。
なお、LINEのQRコードやアカウントでは弁護士会照会をかけることができませんので、IDを把握していることが必要になります。
キャリアメールのアドレス
不倫相手のキャリアメール(@docom.ne.jp、@au.com、@softbank.ne.jpなど)のアドレスが分かっている場合、弁護士会照会により契約者情報を特定できることがあります。
探偵に依頼する
電話番号や上記の情報も分からない場合には、探偵(興信所)に調査を依頼することを検討しましょう。
探偵に依頼する場合、費用が高額になること(最低でも数十万円)、調査が功を奏さない可能性があること等のリスクがありますので、探偵に依頼するか否かは、慎重に検討するようにしましょう。
なお、探偵に依頼した場合、不倫相手に対し、探偵費用を請求できると考えている方もいらっしゃると思いますが、裁判例上は、探偵費用の請求は認められない又は一部の請求に留まるというケースがほとんどですので、不倫相手から探偵費用を回収できる前提で探偵に依頼することは控えるようにしましょう。
5. まとめ
弁護士会照会は、弁護士に依頼した場合にしか利用できない制度です。
不倫相手に慰謝料請求をしたいが、電話番号しか分からないという方は、弁護士への依頼を検討すると良いでしょう。
当事務所は、不貞慰謝料案件に注力しており、不倫相手の情報を特定するための弁護士会照会の経験と実績も豊富です。
不貞慰謝料に関し、当事務所への相談をご希望の方は、問い合わせフォームよりご連絡ください。
