静岡県で公正証書を作成することを検討しているが、どのようにしたらよいか分からないという方のために、本記事では、公正証書の作成方法を弁護士が解説します。
目次
1. 公正証書とは
公正証書とは、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことをいいます。
公正証書は、公証人が公証役場において当事者に確認をしながら作成するため、文書が真正に成立した(当事者の意思に基づいて成立した)ことについて、強い推定が働き、証拠力が非常に強い文書となります。
また、金銭の支払(養育費の支払や貸したお金の返還など)について記載されている公正証書の場合には、金銭の支払方法についての記載と、債務者(支払義務を負う人)が金銭の支払をしない場合には、直ちに強制執行に服する旨の陳述(強制執行認諾文言といいます)を記載するのが一般的です。
この強制執行認諾文言があることにより、相手が金銭の支払をしなかった場合、裁判手続きを経ることなく、直ちに相手の給与を差し押さえる・預金を差し押さえる等の強制執行が可能となるため、非常に重要な文書といえます。
公正証書を作成することで、相手方が強制執行を嫌がり確実に支払ってくれるといったメリットも期待できますので、特に養育費など、一般的に支払が長期に渡る場合や、分割で貸したお金を返してもらう等の約束をした場合には、公正証書を作成することをお勧めします。
2. 静岡県内の家庭裁判所
公正証書は、公証役場にて作成することができ、静岡県内には以下の公証役場があります。
| 公証役場 | ホームページ | 住所 | 電話番号 | FAX | メールアドレス |
|---|---|---|---|---|---|
| 静岡合同 | https://www.kosyonin.jp/sizuoka/ | 〒420-0853 静岡市葵区追手町2-12安藤ハザマビル3階 | 054-252-8988 | 054-251-0944 | shizuoka-koshoyakuba@grace.ocn.ne.jp |
| 沼津合同 | https://www.kosyonin.jp/numazu/ | 〒410-0801 沼津市大手町3-6-18住友生命沼津ビル5階 | 055-962-5731 | 055-962-5766 | numazu-koushou@rx.tnc.ne.jp |
| 熱海 | https://www.kosyonin.jp/atami/ | 〒413-0005 熱海市春日町2-9熱海駅前第二ビル3階 | 0557-82-7770 | 0557-82-7788 | atami-kousyouyakuba@olive.plala.or.jp |
| 富士 | https://www.kosyonin.jp/fuji/ | 〒417-0055 富士市永田町1-124-2EPO富士ビル2階 | 0545-51-4958 | 0545-51-4957 | fuji-notary@tmt.ne.jp |
| 浜松合同 | https://www.kosyonin.jp/hamamatsu/ | 〒430-0946 浜松市中央区元城町219-21第一ビル2階 | 053-452-0718 | 053-452-4308 | kosyo@yn-hamamatsuyakuba.jp |
| 掛川 | https://www.kosyonin.jp/kakegawa/ | 〒436-0056 掛川市中央2-4-27中央ビル5階 | 0537-22-2304 | 0537-22-2459 | kk-yakuba2427@tmt.ne.jp |
| 袋井 | https://www.kosyonin.jp/fukuroi/ | 〒437-0023 袋井市高尾1129-1袋井新産業会館キラット3階 | 0538-42-8412 | 0538-30-7587 | fukuroi-kosho@muse.ocn.ne.jp |
| 焼津 | https://www.kosyonin.jp/yaizu/ | 〒421-0205 焼津市宗高900番地焼津市役所大井川庁舎2階 | 054-668-9933 | 054-668-9934 | yaizu-notary@iaa.itkeeper.ne.jp |
なお、下田の公証役場は令和7年9月30日をもって閉鎖されました。
3. 公正証書の作成場所
どこで公正証書を作成するかは、作成する人が自由に選ぶことができますので、例えば上記のほか、東京や大阪にある公証役場で公正証書を作成することも可能です。
一般的には、最寄りの公証役場で作成する方が便利でしょう。
また、離婚の公正証書(離婚給付等契約公正証書というタイトルとすることが一般的です)を作成する場合で、既に相手と別居しているときは、相手の自宅近くの公証役場で作成することを申し出ることで、公正証書の作成に応じてもらいやすくなることも考えられます。
4. 公正証書の作成方法
①公正証書に記載する条件について合意する
まずは、公正証書にどういった条件を記載するかについて、相手と協議しましょう。
公正証書には、あくまで相手と合意済みの条件しか記載することができません。
例えば、離婚の際に作成する公正証書であれば、財産分与や養育費、慰謝料の支払、お子さんがいる場合の面会交流などについて記載することが一般的です。
また、貸したお金を返してもらうための公正証書(債務承認弁済契約公正証書というタイトルとすることが一般的です)の場合、いくら貸しているのか、支払い方法(いつ、いくら返すのか)といったことを記載するのが一般的です。
離婚の公正証書の作成方法は、以下のコラムでも解説しています。
②合意済みの内容を書面に記載する
相手と条件について合意ができたら、合意済みの内容を書面に記載し、お互いに署名・捺印することを検討しましょう。
後々公正証書を作成するのであれば、書面に記載する必要がないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、公正証書の作成が完了するまでには、最低でも1か月以上かかります。
この間に相手の気が変わってしまい、結局公正証書の作成ができなかったというケースも多いので、その場合でも相手と合意したことが書面で示せるよう、合意した内容は速やかに書面に残すことをお勧めします。
③公証役場に予約をする
準備ができたら、公証役場に連絡をとりましょう。
まずは、どのような内容の公正証書を作成したいかを連絡します。
この際、②のように既に相手との間で書面を取り交わせている場合には、その書面を送り、これを公正証書にしたいと伝えるとスムーズです。
まだ書面を作成していない場合には、合意している内容を伝えるようにしましょう。
予約したうえで公証役場に行き、口頭で内容を伝えることもできます。
この際、担当者から、まずは公正証書の作成に必要な書類(身分証や戸籍謄本、印鑑証明書等)の提示を求められることがあるので、その場合は指示に従いましょう。
公証人は、合意の内容を元に、案文を作成してくれます。
記載した内容に齟齬がないかを確認し、修正点がある場合には公証人に伝えましょう。
相手とも事前に案文を確認しておくと、当日スムーズに公正証書が作成できます。
案文の調整が終わると、公証人から公正証書作成の日程候補が提示されます。
相手とも調整のうえ、作成したい日に予約を取りましょう。
④公証役場で公正証書を作成する
予約をした日に公証役場に行き、公正証書を作成しましょう。
公証人から事前に持ち物(実印や公正証書の作成費用等)を伝えられますので、忘れずに持っていきましょう。
当日は、公証人と公正証書の作成をする当事者双方が立会いのうえで、公証人が公正証書の内容を読み上げて双方に確認を行い、署名などの作成手続きが行われます。
公正証書の正本又は謄本を受領すれば、手続は完了です。
公正証書に前述した強制執行認諾文言がある場合には、その場で相手が公正証書を交付にて受領したことで、送達(相手が確かに公正証書ヲ受け取ったこと)が完了する「交付送達」という手続を行い、送達証明書をもらっておくと、後々強制執行をする際にスムーズに行うことができます。
なお、相手と顔を合わせたくないといった事情がある場合には、弁護士に依頼して公正証書の作成を代行してもらうことも可能です。
また、公正証書の作成費用は、当事者のいずれかが負担する・相手と折半するといったことが考えられますので、事前にどちらが負担するかを協議しておくとよいでしょう。
5. まとめ
当事務所は、静岡市葵区御幸町のペガサート3階に事務所を構えており、静岡県内の方から数多くのご相談をいただいております。
離婚に関する公正証書や貸金に関する公正証書について、静岡県内の公証役場に代わりに出頭し、公正証書を作成することも可能ですので、公正証書の作成をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
