不動産の売買や賃貸、建築トラブル等、不動産は紛争の多い類型といえます。
本稿では、不動産に関する紛争を解決する手続を紹介します。
目次
1 不動産トラブルの種類
不動産売買・建築トラブル
不動産を購入したが、売買契約時に説明のなかった故障が判明したなど、不動産売買のトラブルは多いです。
不動産売買においては、契約不適合責任、債務不履行責任を理由とする損害賠償請求や解除等が争点となることがあります。また、違約金や手付解除等が問題となることもあります。
また、建物の建築を依頼したが、依頼した内容と違かったり、瑕疵のある建物が建てられてしまったなどの建築トラブルもあります。
契約不適合責任については、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
賃貸トラブル
賃貸借契約の更新を拒絶されたり、賃料の増額、退去時に高額な原状回復費用を求められているなど、賃貸借契約に関する紛争は多いです。
賃貸借契約における更新拒絶、賃料増額、原状回復費用については、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
土地明渡・建物明渡
賃貸借契約の解除や不法占有等を理由とする土地明渡請求や建物明渡請求の紛争もあります。
土地明渡請求と建物明渡請求については、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
共有物分割
共有状態にある不動産を分割したいという場合、分割方法や代償金の金額で紛争が生じることがあります。
共有物分割については、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
2 紛争解決のための手続
当事者間の話合いで紛争が解決できれば良いですが、不動産に関するトラブルは当事者間での解決が難しいケースも少なくありません。
当事者間での話合いが難しい場合には、以下の手続を検討すると良いでしょう。
民事調停
民事調停とは、裁判所を通じた話合いの手続です。
後述する訴訟手続は、手続が複雑で時間もかかるなど、非常に負担が重い手続になります。
一方、民事調停は、手続が比較的簡便で、かつ、2〜3回の期日で(3か月以内に)調停が成立することがあるなど時間をかけずに解決できる可能性がある手続です。
また、訴訟と比べて裁判所に納める手数料が安い、非公開の手続なので秘密が厳守されるなどのメリットもあります。
さらに、話合いの手続ですので、柔軟・円満な解決も期待できます。
民事調停は、原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。宅地建物調停(不動産の賃貸借、その他利用関係に関する調停)の場合は、原則として不動産の所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。管轄の簡易裁判所は裁判所のホームページ(https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kansai/index.html)でご確認ください。
民事調停の申立てに際しては、裁判所に以下の書類を提出する必要があります。
- 申立書(正本及び副本)
- (当事者が法人の場合)資格証明書(代表者事項証明書等)
- 不動産の全部事項証明書
- 不動産の固定資産税評価額証明書
- (証拠がある場合)証拠の写し各2部ずつと証拠説明書(正本及び副本)
- 収入印紙 ※金額は裁判所のホームページをご確認ください
- 郵券(郵便切手) ※金額と内訳は裁判所により異なりますので、事前に管轄裁判所に確認しましょう
調停の申立てが完了する、裁判官1名と調停委員2名の調停委員会が構成され、第1回調停期日の日程を調整します。
調停委員会が話合いを仲介して、紛争の解決を目指していくことになります。
弁護士会の紛争解決センター
民事調停と類似する手続として、弁護士会が運営する紛争解決センター(ADR)があります。
2024年10月現在、全国に39の紛争解決センターが設置されており、紛争のあっせんや仲裁を行っています。
例えば、静岡県弁護士会は、あっせん・仲裁センターを運営しており、静岡支部・浜松支部・沼津支部で手続を行うことができます(詳細は静岡県弁護士会のホームページをご参照ください)。
東京弁護士会では、紛争解決センターを運営しており、東京弁護士会の会員の弁護士が話合いの仲介をしてくれます(詳細は東京弁護士会のホームページをご参照ください)。
また、弁護士会は、住宅紛争に特化した紛争解決手続として、住宅紛争審査会を運営しています。
住宅に関する紛争の仲裁を希望される方は、利用を検討すると良いでしょう(静岡県弁護士会の住宅紛争審査会はこちら、東京弁護士会の住宅紛争審査会はこちらをご参照ください)。
訴訟
当事者間で話合いが難しい場合や、民事調停又はADRで話合いをしたがまとまらなかった場合には、訴訟により解決する方法があります。
訴訟は、民事調停やADRと比べ、手続が複雑で、時間がかかる手続ですが、最終的に裁判所が判決を下すことになるので、紛争の解決力は高く、相手方との話合いが困難な場合には、有効な手段といえます。
また、相手方の所在地が不明な場合は、事実上、調停やADRを申し立てることができないことから、訴訟手続を利用することになります。
訴訟は、原則として相手方の住所地を管轄する裁判所又は不動産の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に以下の必要書類を提出することにより行います。
なお、訴額が140万円以下の場合には、簡易裁判所に訴訟を提起するのが原則ですが、不動産に関する訴訟は、例外的に、訴額が140万円以下の場合でも、地方裁判所に訴訟を提起することが可能です。
- 訴状(正本及び副本) ※ひな形と記載例は、裁判所のホームページに記載があるので、ご参照ください
- (当事者が法人の場合)資格証明書(代表者事項証明書等)
- 不動産の全部事項証明書
- 不動産の固定資産税評価額証明書
- (証拠がある場合)証拠の写し各2部ずつと証拠説明書(正本及び副本)
- 収入印紙 ※金額は裁判所のホームページをご確認ください
- 郵券(郵便切手) ※金額と内訳は裁判所により異なりますので、事前に管轄裁判所に確認しましょう
なお、不動産に関する訴訟の流れは、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
弁護士に依頼する
当事者間での協議がまとまらない場合、弁護士に依頼することを検討するのも選択肢の1つです。
弁護士が介入することで、相手方がきちんと対応してくれなかったケースや感情的になって話合いができないケースにおいて、建設的な話合いができるようになることがあります。
また、弁護士が介入しても協議がまとまらないことはありますが、そのような場合には、事案の内容に応じて、これまで紹介してきた手続のうち適切な手続を選択してもらえ、手続に必要な書類の収集・作成や裁判所とのやりとり等を一任することができます。
3 不動産に関する紛争は新静岡駅前法律事務所へ相談を
不動産に関する紛争は、解決が難しいケースが少なくありません。
不動産トラブルでお困りの方は、まずは弁護士に相談し、見通しや適切な対処法を確認することをお勧めします。
当事務所は、離婚及び相続案件に注力しておりますが、離婚や相続案件では財産分与や遺産分割で不動産トラブルが絡むことが多いため、不動産案件にも注力しており、その経験と実績は豊富です。
不動産トラブルでお悩みの方は、ぜひ新静岡駅前法律事務所へご相談ください。当事務所への相談をご希望の方は、問い合わせフォームよりご連絡ください。
