不倫(不貞行為)を理由に慰謝料を支払った場合、不倫相手に対し、求償請求をすることができます。
求償請求をすることにより、自身の経済的負担を減らすことができます。
本稿では、求償請求の要件と請求方法を解説いたします。
目次
1. 求償権とは?
不貞行為は民法上の不法行為に該当し、配偶者に対する慰謝料の支払義務が生じます(民法第709条、同第710条)。
不貞行為は、不倫当事者の共同不法行為(2人で共同して違法行為を行うこと)に該当します(民法第719条)。
共同不法行為の場合、被害者(不貞行為の場合は配偶者)は、共同不法行為者の1人に対し、全額の損害賠償を請求することができます(共同不法行為者全員に対し、連帯して損害を賠償するよう求めることもできます、民法第719条1項、「不真正連帯債務」といいます)。
共同不法行為者の1人が被害者に損害賠償金を支払った場合、他の共同不法行為者に対し、責任割合(違法行為及び損害を生じさせた責任の度合い)に応じた求償金を支払うよう請求することができます。
これを「求償権」といいます。
例えば、不倫当事者の一方が配偶者に100万円の慰謝料を支払った場合、もう一方の不倫当事者に対し、求償金として50万円を請求することができます(後述するとおり、不貞行為の場合、責任割合は5割ずつとなることが多いです)。
なお、不倫慰謝料の基本的な知識や相場は、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
2. 責任割合
前述のとおり、求償請求の金額は、支払った慰謝料の金額と責任割合により決まります。
不貞行為の場合、責任割合は不倫当事者同士で5割ずつとなることが多いです。
責任割合が5割ずつから修正されるケースとしては、不倫当事者の一方が不貞行為に積極的かつ主導的な役割を果たしていた場合が挙げられます。
具体例は以下のとおりです。
- 不倫当事者の一方が上司であるなど上下関係があり、かつ、立場が上の者が不貞関係の開始や継続を積極的に求めていた場合
- 既婚者が独身と偽って不貞関係が開始された場合(もう一方の不倫当事者は既婚者と知らなかったことについて過失が認められることが前提。過失が認められない場合には慰謝料の支払義務がないため)
3. 求償請求の方法
慰謝料を支払った後に請求する場合
①協議
配偶者に不倫慰謝料を支払った後に請求する場合、まずは裁判外で求償請求を行うと良いでしょう。
請求に際しては、配偶者に支払った慰謝料の金額、責任割合(5割を超える請求を行う場合にはその根拠となる事実)、求償請求の金額を明示するようにしましょう。
裁判外での協議が決裂した場合、訴訟(裁判)に移行する可能性がありますので、請求は記録に残る方法(内容証明郵便等)で行うと良いでしょう。
また、求償請求権は5年の消滅時効にかかることから(民法第166条1項1号)、時効が迫っている場合は必ず記録に残る方法にしましょう。
請求を行うことで、6か月の間、消滅時効の完成を止めることができます(「時効の完成猶予」といいます、民法第150条)。
②訴訟
求償金の金額が合意できない場合や相手方が求償金の支払を拒否した場合には、訴訟(裁判)に移行することを検討しましょう。
訴訟は、管轄の地方裁判所に訴状等の書類を提出することで提起することができます。
具体的な必要書類は以下のとおりです。
- 訴状(正本及び副本)※正本が裁判所提出用、副本が相手方への送達用
- 証拠(配偶者に慰謝料を支払ったことや求償金請求を行ったことが分かる資料等)
- 印紙※請求額により金額が変わります。
詳細は裁判所のホームページをご確認ください。 - 郵券(郵便切手)※金額と内訳は裁判所により異なりますので、管轄の裁判所に確認しましょう。
慰謝料の支払前に協議する方法
不倫相手の配偶者から慰謝料請求を受けていて、不倫相手と配偶者が離婚しない場合には、慰謝料の支払前に求償について協議を行うことができる可能性があります。
例えば、不倫相手Aと配偶者Bが離婚しない場合、仮にBから慰謝料請求を受けている不倫当事者のCがBに慰謝料100万円を支払うと、CはAに対して50万円の求償請求をすることができます。
AとBが離婚しない場合、家計が一緒である可能性があることから、そのような場合、AB夫婦からすると、AB夫婦の家計に慰謝料100万円が入り、AB夫婦の家計から求償金50万円が出て行くことになるので、最終的なAB夫婦の収支はプラス50万円ということになります。
このような煩雑な支払関係を回避するために、BのCに対する慰謝料請求の段階で、CのAに対する求償請求権を放棄することを条件に慰謝料を100万円から50万円に減額する交渉をすることがあります。
不倫相手の配偶者から慰謝料請求を受けており、かつ、不倫相手と配偶者が離婚しない場合には、求償請求権を放棄する代わりに不倫慰謝料を減額する交渉をしてみると良いでしょう。
4. まとめ
不倫慰謝料の支払に伴う求償請求は、相手方が支払を拒否することも少なくありません。
また、相手方の配偶者から不倫慰謝料を請求されている場合に、求償権の放棄を条件に慰謝料を減額する交渉も難航することがあります。
当事務所は、不貞慰謝料案件に注力しており、求償請求権に関する交渉や訴訟の経験と実績は豊富です。
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