トラブルになっている相手方やその代理人弁護士から、「法的措置を取る」と通知され、不安を感じる方もいらっしゃると思います。
本稿では、「法的措置を取る」と言われている場合のリスクと対処法について、解説いたします。
目次
1. 法的措置とは
「法的措置」とは、一般的に、裁判所を通じた手続、例えば、民事や家事での調停申立てや訴訟提起、強制執行手続、警察への被害届の提出や刑事告訴等のことを指すことが多いです。
「法的措置」という文言は、法律に規定されているものではなく、法的措置を取る要件等はありません。
もっとも、まったく法的根拠がない又は違法な請求であるにもかかわらず、「法的措置を取る」と述べている場合は、脅迫罪(刑法第222条)、強要罪(刑法第223条)、恐喝罪(刑法第249条)等に該当する可能性があります。
法的措置と同じ意味合いで使われる文言としては、「法的手段」や「法的手続」などがあります。
2. 法的措置を取ると通知されている場合のリスク
法的措置を取ると言われている場合、相手方が法的根拠に基づいて請求をしてきている可能性があります。
その場合に、何も対応せずに放置してしまうと、訴訟提起されたり、刑事事件化(逮捕、起訴など)のリスクがあり、非常に危険です。
特に、相手方に代理人弁護士が就いている場合、法的根拠に基づいている請求である可能性が高く、訴訟提起や刑事事件化の可能性も高いので、弁護士から「法的措置を取る」と通知されている場合には、こちらも早急に弁護士に総算するようにしましょう。
請求に法的根拠がないと思われる場合であっても、その判断が正しいとは限らないので、法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
3. 対処法
①請求の内容と根拠を確認する
まずは、相手方の請求内容とその根拠を確認するようにしましょう。
口頭で請求され、内容や根拠が不明確な場合には、書面や文章にまとめて送ってもらうと良いです。
文章にさせることで、弁護士に相談する際に内容を確認してもらいやすくなるという利点もあります。
②弁護士に相談する
請求内容とその根拠が確認できた場合、弁護士に相談をしましょう。
近年は、初回無料相談を実施している法律事務所も増えてきましたので、相手方の請求に法的根拠がないと思われる場合には、初回無料相談を活用するのも良いでしょう。
なお、弁護士の選び方については、以下のコラムで解説しておりますので、ご参照ください。
③対応を検討する
弁護士への相談が完了したら、相手方の請求に対する対応を検討しましょう。
法的根拠がない場合には、無視する又は拒否するという対応になることが多いですが、中には執拗に連絡してくる、「職場に言う」などと脅迫してくる、自宅に押しかけてくるなどの悪質な対応をしてくる相手方もいます。
そのような場合には、弁護士に依頼し、相手方に警告してもらった上で、法的根拠がないこと及び請求には応じられない旨の回答をしてもらうことを検討すると良いでしょう。
相手方の請求の全部又は一部に法的根拠がある場合には、相手方と協議をするのが良いでしょう。
協議する内容としては、相手方に支払う金額(解決金や示談金を含む)、支払方法、和解ないし示談する場合の附帯条項(接触禁止条項、口外禁止条項、宥恕条項、清算条項等)などが挙げられます。
相手方との協議がまとまったら、必ず合意した内容を書面にまとめて、双方が署名・押印をするようにしましょう。
なお、書面のタイトルに法的なルールはありませんので、「合意書」や「示談書」などのタイトルで問題ありません。
また、書面の作成に当たっては、必ず「清算条項」という解決金以外に債権債務がないことを確認する条項(和解ないし示談に際して支払う解決金ないし示談金以外に金銭請求をしないこと)を定めるようにしましょう。
清算条項を定めておかないと、追加の金銭請求をされるなどして、紛争が蒸し返されてしまうおそれがあります。
さらに、刑事事件が絡んでいるケースで和解ないし示談する場合、刑事処罰を求めない」という「宥恕文言」を含めることが重要です。
宥恕文言を含めることで、検察官は示談成立と被害者が処罰を望んでいないことを重視し、不起訴処分とする可能性が高まります。
また、相手方の請求の一部に法的根拠がない場合には、協議において、相手方に反論することも必要となります。
ご自身で協議や反論をすることが難しい場合には、弁護士への依頼を検討しましょう。
④法的措置を取られてしまった場合
相手方との協議が決裂し、訴訟提起をされてしまったり、被害届を提出されて警察の捜査が開始してしまった場合など、法的措置を取られてしまった場合、ご自身で対応することはリスクが高いので、弁護士に依頼し、対応を一任することをお勧めします。
中には弁護士を就ける必要性の低い又は必要のないケースもありますが、裁判手続や刑事事件に対応するためには、手続に関する知識がないと対応が困難であったり、主張や立証(証明)方法を誤ってしまうと、本来支払う必要のない金額が認められてしまうこともあるので、法的措置を取られてしまった場合には、弁護士に依頼した方が良いでしょう。
4. まとめ
「法的措置を取る」と言われている場合、大きな法的リスクを抱えているケースが少なくありません。
「法的措置を取る」と言われる状況となっている方は、まずは弁護士に相談してみましょう。
当事務所も、「法的措置を取る」と言われているという相談をよくお受けしています。
法的トラブルでお困りの方は、お気軽にご相談ください。